コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

両眼視 りょうがんしbinocular vision

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

両眼視
りょうがんし
binocular vision

両眼が外界から受ける印象はわずかずつ異なっているが,これを中枢で合致させ,単一の視的印象とする機能をいう。同時視,融像,立体視の3段階があり,これらは5歳頃に完成する。両眼視の満足な発達には,感覚系,運動系,中枢が密接に,しかも複雑に関与している。斜視は両眼視機能の発達を阻害するので,早い時期に治療する必要がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

りょうがん‐し〔リヤウガン‐〕【両眼視】

立体視

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

両眼視
りょうがんし
binocular vision

外界の対象を片方だけの眼(め)で見る単眼視に対して、両眼で同時に見ることを両眼視という。のFAとFBは眼の高さにある視対象で、両眼でFを注視すると、Fが網膜の中心窩(か)FlとFrに結像するように、両眼球は内転あるいは外転する。このとき、FAは左眼では角αl、右眼では角αrの大きさをもつ網膜像として結像する。角αlと角αrは大きさが等しいので、外界の点Aの結像点AlとArは、それぞれの眼の中心窩から同一方向に同一距離だけ離れていることになる。中心窩を基準として同一方向に同一距離だけ離れている両眼網膜上の一対の点を対応点といい、対応点に結像する外界の点の軌跡をホロプターhoropterという。眼の高さでのホロプターは、理論的には注視点(F)と両眼の結節点(NlとNr)の3点を通る円である。両眼の対応点に結像した網膜像は、融合して注視点と同一距離にある一つの対象として知覚される。
 「キクロプスの眼」Cyclopean eyeは、このことを説明するために、ギリシア神話の単眼の巨人キクロプスKyklopsにちなんで、両眼の中央に仮想された単眼で、この単眼ではAlとArが同一点に重なり、外界の点AはAl・ArとNを結ぶ線の延長上に、Fと同一距離にあるように見えることになる。しかし、実際にFと同一距離にあるように見える点を求めてみるとの経験的ホロプターのようになり、理論的ホロプターと一致しない。また、ホロプター以外の点はすべて両眼網膜の非対応点に結像するが、その点が融合域とよばれる範囲(の色帯の部分)内にあれば、融合してFよりも遠い(あるいは近い)一つの点として知覚される。融合域外の点Bは、左眼ではBl、右眼ではBrに結像し、キクロプスの眼では異なる方向にある2点に見え、二重像が生じるが、ある程度までは遠近の弁別ができる。対象FBの両眼の網膜像の大きさの差(角Blと角Brとの差)を両眼(網膜)非対応あるいは両眼像差という。この差が小さければ二つの網膜像は融合し、奥行のある一つの対象として知覚される。両眼非対応は奥行弁別のもっとも有効な手掛りで、奥行が弁別できる最小の差を角度で表したものを奥行視力といい、最適条件下では2秒、一般的には10秒の両眼非対応で奥行が知覚できるとされている。
 実体鏡stereoscopeやハプロスコープhaploscopeは、同一対象を左眼と右眼の両位置から見た一対の絵や写真をそれぞれの眼だけに呈示して、鮮やかな立体感を生じさせる装置であるが、左眼用の絵や写真と右眼用のそれとで両眼非対応を生じさせるから立体感が顕著になるのである。両眼非対応に基づく立体視は両眼立体視とよばれ、二次元的な絵や写真を単眼で見たときに生じる単眼立体視と区別されている。また、これらの装置によって、左眼には赤色、右眼には緑色というように、まったく異質の視対象を呈示すると、両対象は融合せず、全体が赤あるいは緑に見えたり、両方の色が混在して見えたりする、視野闘争とよばれる現象がおこる。[吉岡一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の両眼視の言及

【複視】より

…片目をふさぐと一つに見えるが,両目で見ると複視があるという場合を,両眼複視といい,片目でも二つに見えている場合を単眼複視という。両眼複視は〈両眼視〉の異常で起こり,最もしばしばみられるのは,眼筋や神経の異常のために眼球の運動が悪くなり,眼の位置にずれを生じて斜視となる場合である。このような斜視を麻痺性斜視とか眼筋麻痺という。…

【目∥眼】より

…6歳となれば大部分が視力1.0となる。機能の中で最も高次の働きである両眼視も6歳で完成する。すなわち,視機能はおおよそ6歳でできあがる。…

【立体視】より

…外界のある物体を両方の目を同時に使って見ること,すなわち両眼視binocular visionによって立体的な遠近感を得ること。実体視ともいう。…

※「両眼視」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

両眼視の関連キーワードヘリング(Ewald Hering)目のしくみとはたらきマジュンガトルスプリズム眼鏡視能訓練士ホロプター先天白内障立体音響奥行知覚視野闘争視野欠損立体映像立体写真視空間眼鏡視覚眼科恐竜半盲視差

今日のキーワード

日馬富士 公平

大相撲力士。身長186センチ、体重137キロ。1984年4月14日生まれ、モンゴル・ゴビアルタイ出身。伊勢ヶ濱部屋に所属。本名はダワニャム・ビャンバドルジ。2001年1月の初場所で初土俵、2012年1...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android