新選組始末記(読み)シンセングミシマツキ

デジタル大辞泉 「新選組始末記」の意味・読み・例文・類語

しんせんぐみしまつき【新選組始末記】

子母沢寛長編小説。昭和3年(1928)刊行。生き残り隊士からの聞き取りなど、綿密な調査により史実巷説を再構成し、新撰組実相を描いた労作。昭和4年(1929)刊行の「新選組遺聞」、昭和7年(1932)刊行の「新選組物語」とともに新撰組3部作とよばれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新選組始末記」の意味・わかりやすい解説

新選組始末記
しんせんぐみしまつき

子母沢寛(しもざわかん)の実録。1928年(昭和3)8月、万里閣刊。『新選組遺聞』(1929・万里閣)、『新選組物語』(1932・春陽堂)の3冊を『子母沢寛全集』(1962・中央公論社発刊に際し、再編集し、補筆したうえで定本『新選組始末記』とする。確かな史実と豊富な巷説(こうせつ)を現地踏査によって再構成し、隊士たちのさまざまな運命を鮮烈に描く新選組実録である。彰義隊くずれを祖父にもつ寛の新選組に寄せる鎮魂の賦が、実地踏査による状況再現の妙と相まって、優れた実録新選組になっている。

[山崎一穎]

『『新選組始末記』決定版(富士見書房・富士見時代小説文庫)』

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世界大百科事典(旧版)内の新選組始末記の言及

【子母沢寛】より

…在社中から新聞の囲みものなどを手がけ聞書形式を生かしたスタイルを定着させ,新選組や遊俠の徒の調査研究に力を注ぐ。28年《新選組始末記》を刊行して注目され,《弥太郎笠》(1931),《菊五郎格子》(1932),《国定忠治》(1932‐33)などをつぎつぎに発表して股旅物に新境地を開いた。また《突っかけ侍》(1934‐36)を連載するころからしだいに白浪物,幕末物もふえ,《勝海舟》(1941‐46,間に休載期をふくむ)を長期にわたって書きつぐ過程で戦後の幕末物が開花した。…

※「新選組始末記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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