デジタル大辞泉
「鎮魂」の意味・読み・例文・類語
ちん‐こん【鎮魂】
[名](スル)
1 死者の霊魂を慰めしずめること。「戦死者を鎮魂する儀式」
2 体内にある霊魂をしずめること。たましずめ。
たま‐しずめ〔‐しづめ〕【▽鎮▽魂】
1 魂を落ち着かせ鎮めること。ちんこん。
2 「鎮魂の祭」の略。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ちん‐こん【鎮魂】
- 〘 名詞 〙
- ① 魂を落ち着かせしずめること。肉体から遊離しようとする魂や、肉体から遊離した魂を肉体にしずめること。また、その術。広義には、活力を失った魂に活力を与えて再生する魂振(たまふり)をも含めていう。たましずめ。
- [初出の実例]「神祇官 伯一人〈掌三神祇祭祀。〈略〉鎮魂。〈略〉惣二判官事一〉」(出典:令義解(718)職員)
- ② 「ちんこんさい(鎮魂祭)」の略。
- [初出の実例]「入レ夜来云、只今罷二着鎮魂一」(出典:小右記‐寛仁四年(1020)一一月一九日)
- ③ 死者の霊を慰め鎮めること。
- [初出の実例]「作者が皇太子になりかわって、鎮魂の詩章を構想しているのであるから」(出典:古典と現代文学(1955)〈山本健吉〉柿本人麻呂)
たま‐しずめ‥しづめ【鎮魂】
- 〘 名詞 〙 たましいを落ち着かせしずめること。肉体から遊離しようとするたましいや、肉体から遊離したたましいを落ち着くようにすること。またその術。広義には、活力を失ったたましいに活力を与え再生する「たまふり」、また、亡魂をしずめなぐさめる行事をもいう。ちんこん。
- [初出の実例]「凡、鎮魂(タマシツメ)の儀(よそひ)は、天鈿女命(おすめのみこと)の遺(のこん)の跡なり」(出典:古語拾遺(亮順本訓)(807))
- 「たましつめして参らすとて 身から社とにも角にもあくかれめ通はむ魂のを絶たにすな」(出典:馬内侍集(11C前))
みたま‐しずめ‥しづめ【鎮魂】
- 〘 名詞 〙 天皇、皇后、皇太子の御魂を鎮め、その延命を祈る祭式。陰暦一一月宮中で行なわれた。たましずめのまつり。鎮魂祭。→たましずめ。
- [初出の実例]「みたましづめは、然為して御魂を鎮め奉るうへより云ふ称なり」(出典:鎮魂伝(1845)鎮魂考証)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内の鎮魂の言及
【祟り】より
… 以上からもわかるように,祟り霊はその規模のいかんを問わず祭祀や祈禱によって鎮められるとの観念が生みだされた。つまり祟りと鎮魂との相関が意識されることになったのであるが,それは全体として閉鎖的な社会・政治環境における精神病理的な現象であったと考えることができる。ところで,このような祟りと鎮魂のメカニズムは,道真の事例においてみられるように,それ以降の日本の政治史にもしばしば現れるようになった。…
【霊魂】より
…ところで仏教は原則として,その[無我説]の立場から霊魂の存在を説かなかったが,浄土教思想の勃興とともに,死後における往生の主体の問題が提起され,それをめぐってやがて霊魂の存在を暗に認める立場をとるようになった。日本では古く霊魂のことを〈たま〉といい,〈たまふり〉や〈たましずめ〉などの鎮魂儀礼が重要視された。それは遊離しやすい状態の〈たま〉を身体につなぎとめるための呪術であったが,他方,遊離した〈たま〉はときに怨念を含む御霊(ごりよう)や物の怪(け)に変貌して,生きている者に危害を加えると信じられた。…
※「鎮魂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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