旅順工科大学(読み)りょじゅんこうかだいがく(英語表記)The Ryojun College of Engineering

大学事典 「旅順工科大学」の解説

旅順工科大学
りょじゅんこうかだいがく
The Ryojun College of Engineering

1922年(大正11)に現在の中国遼寧省大連市旅順口区に設立され,第2次世界大戦の終戦により廃校となった官立の工科系単科大学。前身は1909年(明治42)に創設された旅順工科学堂(以下,学堂)で,当時,関東都督府民政長官であった白仁武が初代学長を務めた。学堂は工業技術の振興を図ることを目的に創設され,1920年頃より大学昇格への運動を開始した。昇格した翌年の1923年より予科(3年)の授業を,26年には予科修了生55人と選抜試験合格者9人によって学部(3年)の授業を開始した。学堂および大学の特徴は,機械工学電気工学冶金学,採鉱学,応用化学,航空学,物理学といった理工系分野全般で優れた教育を行っていたことである。『旅順工科大学一覧』などによれば,実践的技術者の養成を目的に多くの実験用設備・器具が準備されており,実験・実習に多くの時間を割いて有為な人材を輩出した。なお現地中国人の入学も許可しており,その選抜試験は競争率(倍率)50倍を超え,科挙以上の難関とも言われていた。
著者: 戸村理

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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