族田(読み)ぞくでん(その他表記)zú tián

改訂新版 世界大百科事典 「族田」の意味・わかりやすい解説

族田 (ぞくでん)
zú tián

中国,宋代以降あらわれた義荘・祭田等同族的土地所有。義荘は11世紀半ば,范仲淹(はんちゆうえん)の設立した〈范氏義荘〉にはじまる。同族内有力者の提供した土地(義田)の収益による互助組織である。族内の貧窮者を救済し,また一族中の優秀な人物に学資を援助して科挙を受験させて官僚とし,官戸としての特権を利用して同族の利益をはかった。祭田は,12世紀後半,朱熹(子)の創案にかかり,同族内有力者の寄付する祭田の収穫により,共同の祖先祭祀を行い,族的結合の強化をはかったものである。貧富の分解をくいとめ,地主体制の再編成を意図したもので,明・清代まで数多く設置された。族田の設置は華北に少なく,華中・華南に多く,面積も数百畝(ムー)から千畝以上に及ぶものもある。広南では族的結合が強く,械闘のごとき宗族間の対立の防衛費などにもあてられた。新中国成立後,土地改革が実施されると,他の地主的土地所有と同様,族田はいったんすべて国家に回収され,農民に配分された。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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