械闘(読み)カイトウ(英語表記)xiè dòu

デジタル大辞泉 「械闘」の意味・読み・例文・類語

かい‐とう【械闘】

革命前の中国で、水利地境などの争いなどを原因として起きた部落や労働者集団間の武力闘争代には華中華南に多かった。

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精選版 日本国語大辞典 「械闘」の意味・読み・例文・類語

かい‐とう【械闘】

  1. 〘 名詞 〙 革命前の中国で、族や党派を異にする集落、または労働者集団(帮)間に行なわれた武力闘争。

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改訂新版 世界大百科事典 「械闘」の意味・わかりやすい解説

械闘 (かいとう)
xiè dòu

中国,近世における農村の集団的な武力闘争。械とは武器のこと。中国の前近代社会では,官憲の力が農村の末端社会まで及ばないうえに,盗賊匪賊が横行するので,農村では団結して防衛し,ときには山寨・堡塁を築いて緊急の際たてこもるなど,共同して故郷の村を守る風習が強かった。とりわけ中国の中南部においては,一村農民が同姓あるいは二,三姓でまとまるなど,血縁的な同族部落の性格が根強く,閉鎖的な孤立性をもっていた。そこでこういう排他的な村落あるいは同族相互の間に,何らかの契機で紛争が発生すると,村民族人は刀・槍ときには鉄砲をもち出して戦い,実力で解決をはかろうとする。紛争の契機となるのは,水争い,墳墓争い(争墳)や境界の争いであり,あるいは土着の村民と,新しく移住してきた客民との間の争いもあった。村民族人の人数は数百から数千人にものぼり,貧民を傭兵として用い,官憲に逮捕されるのを恐れて,真の主謀者は背後にかくれ,逮捕覚悟の人物を表面に立てるとか,また単独の同族だけでなく,たがいに複数の族の連合をはかるなど大規模なものもみられた。械闘は沿江沿海の6省とくに福建省泉州漳州広東省の潮州などが有名である。械闘で死者負傷者が出るが,その場合にそなえて同族間で資金を集めてたくわえ,遺族らのその後の生活を保証した。海外に出た華僑も資金を送って援助することがある。新中国になり,農村のこういう排他的な閉鎖性・孤立性が解消されるにつれて,械闘の現象もなくなったものと思われる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「械闘」の意味・わかりやすい解説

械闘
かいとう
xie-dou; hsieh-tou

中国の前近代社会での村落間の武器を持っての闘争。明清代の華中,華南の農村,とりわけ同族村落は,閉鎖的排他的な傾向が強く,個人的な報復行為ばかりでなく,村落全体の利害にかかわる水利,地境,墳墓などの争いについて,法に訴えないで武器を取り,実力で解決しようとすることが多かった。これが械闘で,華南では特に盛んで,福建の 漳州や泉州,広東の潮州などがその中心であった。その資金は族田からの収益や寄付金などでまかなわれた。

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普及版 字通 「械闘」の読み・字形・画数・意味

【械闘】かいとう

凶器をもち群闘する。

字通「械」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の械闘の言及

【客家】より

…中国南部に移住してきた原因,経路には疑問があるが,彼らの伝承によれば,(1)4世紀初めの永嘉の乱,(2)9世紀末の黄巣の乱,(3)12世紀初めの北宋の崩壊,(4)17世紀の明の滅亡を契機として,黄河流域の漢民族がしだいに南下して以上の地域に定着し,先住の土着民から客家といわれ,やがてみずからもこれを他と区別する呼び名としたという。彼らは独立心に富み団結力が強くて簡単に土着民と融和せず,械闘(かいとう)といい武器をとって激しい争いを繰り返した。清ではこれを解消させるために,客家を海南島などへ強制移住させたほどである。…

※「械闘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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