旗〓信号(読み)きりゅうしんごう

改訂新版 世界大百科事典 「旗〓信号」の意味・わかりやすい解説

旗信号 (きりゅうしんごう)

旗と旗との組合せで船と船,船と陸上の間で交わされる信号。26枚のアルファベット文字旗,10枚の数字旗,3枚の代表旗および回答旗の計40枚の旗(国際信号旗international signal flag)を使用し,1旗または2旗以上を組み合わせて行う。17世紀以来,種々考案使用されていた旗による船舶間の信号方法が国際的に共通するものとなったのは,当時最大の海運国であったイギリスの商務院が1857年に発行した信号書を各国が採用してからである。現在の旗旈信号は国際信号書(1965年IMCO採択)に従って行われる。同書では航海人命に関係ある事態を処理するための必要な通信文が,緊急度に応じ1字または2字以上のアルファベット,数字で符字化してある。通信者は所要の符字を信号旗でつづってマストへ掲揚すれば言語が異なる相手とも通信ができる。信号を視認した者は回答旗をマストの半ばまで掲げ,信号を解読したならば同旗を最上部まで引き上げる。それを確認した発信者は信号を下ろし次の信号を掲げるといった手順で交信し,最終の信号を掲揚したら別に回答旗を掲げその旨を示す。代表旗は1信号の中で同一旗を2回以上使用する必要がある場合に代用として使用する。取扱いに適当な大きさであるため多用されている中型規格旗(縦137cm,横168cm)を使用した場合,天候風向風速視程太陽の照射角,背景などに恵まれても,肉眼で1000m程度,7倍双眼鏡を使用して2000m程度が交信可能な限度である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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