改訂新版 世界大百科事典 「日心座標」の意味・わかりやすい解説
日心座標 (にっしんざひょう)
heliocentric coordinates
太陽の中心を原点にとった座標。惑星やすい星などの天体の地球から見た位置を求めるには,まず力学理論に従って日心座標を計算し,地球の座標を引いて地心座標にする。日心座標の表現は直交座標と極座標の二つが用いられ,直交座標の場合は春分点の方向をX軸に,赤道面で6時,すなわち90°の方向をY軸,北極方向をZ軸にとった赤道面基準のものが使用される。極座標では黄道面を基準にとって,春分点と黄道の北極を通る大円を経度の原点にとった経度すなわち黄経と,黄道面を緯度0°として北極の方向へ+にとり,南極の方向に-にとった緯度すなわち黄緯と,太陽からの距離を動径と呼んだもので示す。日心座標はともに春分点や赤道面,黄道面を基準にしているため,歳差や章動で原点が変化するから,採用したこれらの元期を併記しなければならない。直交座標では,従来1950.0年のものが,将来は2000.0年のものが標準元期として使われ,極座標では章動だけを補正したそのときどきの平均春分点に対するものが使用されることが多い。
執筆者:古川 麒一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報