日方浦(読み)ひかたうら

日本歴史地名大系 「日方浦」の解説

日方浦
ひかたうら

[現在地名]海南市日方・山崎やまさき町一―三丁目・馬場ばば町一―三丁目・築地つきじ

黒江くろえ湾の北東湾奥、日方川河口に位置する。名草なくさ郡に属し、西北黒江村船尾ふのお浦、北はしろヶ峰(一七五・二メートル)を隔てて岡田おかだ村、東は神田かんだ村、南は名高なたか浦に接する。「続風土記」は「日方は干潟にして海辺沙浜の名なり」とし、「玉葉集」にみえる藤原為家の歌「くるゝまに鱸つるらし夕汐の干潟の浦にあまの袖みゆ」の「干潟の浦」を当地にあてている。応永七年(一四〇〇)正月日付の三上庄大野郷御年貢帳(禅林寺文書)に「日方惣村分」とみえ、この頃大野おおの郷内に日方村が形成され、惣をなし一定の自治組織をもっていたことが明らかである。また同年貢帳には日方浦として浦役一貫四〇〇文が記され、大野郷内の漁村として位置づけられている。

慶長検地高目録は日方村として高五六五石余が記されるが、これは神田村を含む村高で、その後浦方の日方浦と、村方の神田村に分村した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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