日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本バプテスト同盟」の意味・わかりやすい解説
日本バプテスト同盟
にほんばぷてすとどうめい
Japan Baptist Union
教会の自主独立を尊重する徹底した個別教会観、幼児洗礼の否定、バプテスマ(浸礼)用の水槽(すいそう)(バプテストリー)の設置、聖書中心の信仰に特色をもつプロテスタントの教派。事務局は東京都新宿区西早稲田(にしわせだ)。起源はイギリスのスミスJohn Smyth(1570?―1612)とヘルウィスThomas Helwys(1550?―1616?)の思想であり、日本ではゴーブルJonathan Goble(1827―1896)とブラウンNathan Brown(1807―1886)によって横浜に第一浸礼教会が設立され(1873=明治6)、宣教が開始されて東日本の各地域で教勢を広げた。西日本に教勢を張る西部組合(現、日本バプテスト連盟)と合同(1940)、日本基督(きりすと)教団に加盟(1941)、第二次世界大戦後再発足を図って離脱を敢行したが(1959)、個別教会観が裏目に作用して昔日の教勢を回復できないのが現状である。教会数63、布教所数10、教師数94、信者数3923(『宗教年鑑』平成26年版)。教会の歴史では、瀬戸内海の伝道者で福音(ふくいん)丸の船長ビッケルLuke Washington Bickel(1866―1917)と、フィリピンのパナイで1943年(昭和18)その平和思想のために日本軍に銃殺されて殉教したコベルJ. H. Covell(1894―1943)の生涯と業績がとくに記憶される。関東学院、捜真(そうしん)学院、日ノ本(ひのもと)学園、彰栄学園、尚絅(しょうけい)学院は同派の教育事業。
[川又志朗]