日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本管理法令」の意味・わかりやすい解説
日本管理法令
にほんかんりほうれい
第二次世界大戦後、連合軍(事実上はアメリカ軍)が占領目的に沿った諸措置を日本に実施するための特別の諸法令をいう。連合軍の対日占領は、日本の政府機関を温存・利用するという間接統治を特徴としていた。したがって、占領政策は直接国民に発せられるのではなく、指令、覚書などの形で日本政府に伝えられ、その政策や命令として実現された。具体的には、1945年(昭和20)9月20日、日本政府によって、明治憲法第8条に基づき、「ポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件」(緊急勅令542号)が制定された。これによって、連合軍最高司令官の要求する事項が、必要な場合、法律や法令の制定を待たないで、ポツダム命令として実施されることになった。こうして占領下日本の法構造は、勅令542号を頂点とする管理法令体系と憲法体系の二つの法体系に分裂することになったが、あくまで管理法令体系が優先されていた。この管理法令は、1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約の発効により廃止された。
[山田敬男]