日本自然保護協会(読み)にほんしぜんほごきょうかい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本自然保護協会」の意味・わかりやすい解説

日本自然保護協会
にほんしぜんほごきょうかい

全日本的な規模で自然保護運動を進めるための公益財団法人組織。1949年(昭和24)尾瀬ヶ原の水力発電計画が実現されそうになったとき、民間有志で尾瀬保存期成同盟が結成され、計画阻止に成果をあげた。1951年阿寒(あかん)国立公園(2017年阿寒摩周(ましゅう)に名称変更)の雌(め)阿寒岳頂上の硫黄(いおう)採掘が問題になり、全国的な自然保護運動の必要が痛感され、期成同盟を自然保護協会に改組し、全国的な運動を進めることになった。2011年(平成23)公益財団法人に移行。事務局を東京都中央区新川に置く。

 同協会は、日本の自然を守ることを目的としている。それは単に生物の種類が多いというだけではなく、人間の生活にも必要な自然の恵みを将来にわたって享受できるという豊かさを守ることである。そのために、国土の自然を研究して、その景観上の価値を解明し、国民の自然的環境・生物社会・自然資源の保存など広く自然保護に努めるとともに、国民の認識を深めて、国家諸般の施策に寄与することを運動の目的としている。

[加瀬信雄 2018年5月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本自然保護協会」の意味・わかりやすい解説

日本自然保護協会
にほんしぜんほごきょうかい
Nature Conservation Society in Japan

日本の自然保護運動の草分け的存在。 1949年当時の尾瀬ヶ原の水力発電計画に端を発して結成された尾瀬保存期成同盟を母体に,51年同協会に改組,現在に至る。自然林の保全,野性動植物の保護をはじめ広範な自然保護運動を展開する一方近年では空港建設問題を抱える石垣島サンゴ礁の保護や長良川河口堰 (ぜき) の建設反対運動にもかかわり,特に長野冬季オリンピック招致に絡む志賀高原裏岩菅山の滑降コース新設問題では,世界自然保護基金日本委員会とともに自然保護の世論を喚起し,ついに開発を断念させた。

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