改訂新版 世界大百科事典 「日比谷図書館」の意味・わかりやすい解説
日比谷図書館 (ひびやとしょかん)
東京都千代田区日比谷公園内にある都立日比谷図書館の通称。1908年,当時の東京市長尾崎行雄が市民文化の向上をめざして創設。第2次大戦中の45年5月,空襲によって蔵書約20万冊を焼失した。戦後57年に同地に新館を建設,つづいて61年に増改築を行い,三角形のモダンな図書館として生まれ変わった。さらに,73年東京都立中央図書館の開設に伴い,組織ならびに施設に変動があり,施設としては人文科学,社会・自然科学,新聞雑誌,児童資料,子ども,視聴覚の各室のほか,閲覧室(約300席),催物のための小講堂が完備されている。蔵書のうち,戦災をまぬがれた錦絵,江戸関係資料,加賀豊三郎など学者の所蔵していた和漢書などが中央図書館へ移管された。96年現在では一般図書約13万4000冊,児童資料約10万冊,新聞雑誌約1700種を数える。活動の重点は,図書・視聴覚資料の館外貸出しと,児童資料に関する調査研究の援助であり,年間の貸出しは約35万冊に達している。
執筆者:石井 敦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報