改訂新版 世界大百科事典 「東京都立中央図書館」の意味・わかりやすい解説
東京都立中央図書館 (とうきょうとりつちゅうおうとしょかん)
1973年1月,港区南麻布の有栖川宮(ありすがわのみや)記念公園内に創設された,日本でも最大規模の公共図書館。都市化・情報化社会における都市住民の多様な需要にこたえる図書館ネットワークのセンターとして,一般閲覧のほか,おもに都民の調査研究に対するレファレンス・サービスと,都内の市区町村立図書館の活動をバックアップする役割をもっている。サービス上の特色としては科学分野別(社会,人文,自然)に主題室制を採用し調査研究の便をはかっているほか,新聞雑誌室,視聴覚資料,総合的な参考調査のための一般参考室,および郷土史料や行政資料を集めた東京室を設けている。特別コレクションとしては,日比谷図書館から移管された江戸関係資料(錦絵,絵図類など)や加賀文庫,諸橋文庫,実藤(さねとう)文庫など約25万点がある。また都内の公共図書館へのバックアップ事業として,〈協力車〉を運行させ,図書の配送貸出しを行っている。視力障害者サービスも近代図書館の必須機能となっており,拡大読書器による弱視者サービス,録音テープの作成・郵送サービス,蔵書の点訳サービスなどにも力を注いでいる。延べ面積2万281m2(図書収蔵能力は160万冊),蔵書は97年3月現在,約143万冊。そのうち開架図書が約21万冊,新聞約574種,雑誌約1万種。入館者数は年間約40万人,参考調査件数は約11万件に及ぶ。
執筆者:前田 陽一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報