春日権現験記絵巻(読み)かすがごんげんけんきえまき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「春日権現験記絵巻」の意味・わかりやすい解説

春日権現験記絵巻
かすがごんげんけんきえまき

春日大社明神に関する霊験物語を絵巻としたもの。絹本着色,20巻,別に目録が1巻。延慶2 (1309) 年に奉納。絵は高階隆兼詞章は覚円法印の起草で,前関白鷹司基忠,およびその3人の子息,摂政冬平,権大納言冬基,興福寺一乗院良信の筆。左大臣西園寺公衡が春日大社に奉納したもので,のち御物となった。現在は宮内庁三の丸尚蔵館蔵。細部にいたるまで綿密に描き,彩色は入念で華麗,格調高い画面をつくっている。伝統的なやまと絵技法集大成であると同時に,自然描写などには新しい感覚が認められる。鎌倉時代後期のやまと絵の代表作。

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