…元禄期から享保期へとこの傾向は強くなり,本草学や園芸の隆盛となるにしたがって,植物としての生命ある花の存在への関心が高まり,形式と技術をともなわぬ自由な抛入花が立花に代わって新しく評価されはじめる。享保期から明和・天明期(1764‐89)にかけては,抛入花から生花へと日本のいけばなが変化をとげる過渡期であって,抛入花と立花の優劣論や,寛延年間(1748‐51)の落帽堂暁山のごとく五常の道を説き〈義あつて花を生くればいけはななり〉などの所論を重ねて,草木の出生(しゆつしよう)を明らかにし,それに従って花を生けるこそ本義であるとする,安永・天明期(1772‐89)の是心軒一露の《草木出生伝》の出現までの道をたどる。明和から安永・天明期にかけては生花の諸流派が多数の成立をみた時代で,千家流,松月堂古流,古田流,遠州流,庸軒流,源氏流,但千流,正風流,千家我流,相阿弥流,宏道流,石州流,東山流などの流派が,それぞれの主張にもとづいて生花の教導をはじめた。…
※「是心軒一露」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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