日本大百科全書(ニッポニカ) 「曇り」の意味・わかりやすい解説
曇り
くもり
雲量が1以下の場合を快晴、2以上8以下を晴れという。そして、雲量が9以上の場合は曇りという。曇りの場合で見かけ上の最多曇量が巻雲(けんうん)、巻層雲、巻積雲およびこれらの雲の組合せによる場合を、薄曇りという。以前は、見かけ上、高層雲、高積雲の雲量が他の雲よりも多い場合を高曇りとよび、また、乱層雲、層雲、層積雲、積雲、積乱雲の雲量が見かけ上もっとも多い場合を本曇りとよんでいたが、どちらも現在の気象観測では使用しない。
天気予報が曇りなのに日が照っていることはしばしばある。曇りとは雲量が9以上であるから、雲量9も曇りであり、残りの1の雲のない空から太陽光が差し込んでくることは珍しくない。曇った状態を漠然と表現することばが、曇天である。曇天で雨が降っていれば、普通は雨天という。朝のうち曇っていることを朝曇りという。晴天続きの夏の朝曇りがとくに人々の関心をよぶ。これは、海陸風が交代するときにおこる一時的な曇天である。盆地や山地では晴天続きのとき、朝に一時的に発生する層雲によって朝曇りの現象がおこることがある。北海道で、ニシンの漁期のころの曇った状態を、鰊曇り(にしんぐもり)とよぶ。
[平塚和夫]