翻訳|cirrostratus
記号Cs。対流圏上部(日本付近では高度5~13キロメートル)に発生するベールのような薄い雲。空の半分、または一面に広がることがある。おもに氷晶からできているが、過冷却水滴が含まれていることもある。このため、飛行機が巻層雲の中を通過すると着氷が生じることがある。
巻層雲は注意して見ると筋が見えることもあるが、薄い場合には雲が見えない。しかし、ハローhalo(太陽や月の暈(かさ)、幻日、幻月などの光学現象)が見られるので、巻層雲の存在がわかる。巻層雲は温暖前線面に沿って発生することが多い。「日暈(ひがさ)、月暈は雨の兆し」といわれるように、天気が崩れる前兆とされるのはこのためである。繊維のような形が見える毛状巻層雲と、ベールのような感じの霧状巻層雲に分類されている。なお、気象庁は1964年(昭和39)、「巻」は「けん」とは読まないとした当用漢字音訓表にあわせるため表記を「絹層雲」に改めた。しかしその後、1981年に制定された常用漢字表では「巻」を「けん」と読むことが認められたため、1988年4月1日に従来の表記に戻された。
[木村龍治]
『高橋健司著『Cloud――造形美の競演』(1998・誠文堂新光社)』▽『山田圭一撮影『雲の四季』(1999・白水社)』
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