デジタル大辞泉
「層雲」の意味・読み・例文・類語
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そう‐うん【層雲】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 層をなす雲。雲の層。また、比較的低いところにはう雲。
- [初出の実例]「則如下養二魚鼈於層雲之巓一、棲中鳥雀於重淵之底上者也」(出典:本朝文粋(1060頃)四・為入道前太政大臣辞職第三表〈大江匡衡〉)
- 「遠く平羅の地を望めば平昆の嶮嶺遙に層雲の上に秀づ」(出典:経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉後)
- [その他の文献]〔陸機‐文賦〕
- ② 十種雲形の一つ。低く一様にたれこめた霧のような雲。地面には接触していない。ふつう局地的なもので、水滴を含んでいるが比較的天気のよい時にできる。霧雲(きりぐも)。〔英和和英地学字彙(1914)〕
- [ 2 ] 俳句雑誌。明治四四年(一九一一)河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)・荻原井泉水(おぎわらせいせんすい)が中心となって創刊。のちに碧梧桐らが去って井泉水が主宰。無季・自由律を主張した新傾向の俳句をめざした。尾崎放哉(ほうさい)・種田山頭火(さんとうか)・栗林一石路(いっせきろ)らを輩出した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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普及版 字通
「層雲」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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層雲(俳句雑誌)
そううん
俳句雑誌。1911年(明治44)4月、荻原井泉水(おぎわらせいせんすい)が創刊。当初河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)を後ろ盾に新傾向俳句の研究と普及を目的としたが、ドイツ文学の翻訳・紹介を載せるなど、文芸雑誌の観があった。井泉水は13年(大正2)より「昇る日を待つ間」、翌年より「蛇の言葉」等の俳論を発表。「俳句は印象の詩である」との確信から碧梧桐とも決別し、定型・季題を揚棄した「新しい俳句」を唱え、野村朱鱗洞(しゅりんどう)、芹田鳳車(せりたほうしゃ)、小沢武二(たけじ)、青木此君楼(しくんろう)、種田山頭火(さんとうか)、尾崎放哉(ほうさい)らを輩出した。井泉水没(1976)後も継続刊行されたが、92年(平成4)8月号を終刊号として廃刊された。
[瓜生鐵二]
『荻原井泉水著『此の道六十年』(1978・春陽堂書店)』
層雲(気象)
そううん
霧が空に浮かんでいるように見える雲で、霧雲(きりぐも)とよばれることもある。記号St。山では霧と区別がつかないことが多い。雲底は平らで灰色がかっている。上面は、紙をちぎったようにぎざぎざしている。霧雨が降ることもある。しかし、層雲から強い雨が降ることはない。強い雨が降る場合は乱層雲という。層雲の一部がちぎれて風に流されていくものを片層雲(へんそううん)という。
[木村龍治]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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層雲【そううん】
下層雲の一つ。灰色の層状の雲で,雲底は一様で乱れていない。最も低いところ(地上600m前後に多い)に現れる。乱層雲と混同しやすいが,層雲からの降水は霧雨である。十種雲形の一つで国際式略記号はSt。
→関連項目片層雲
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層雲
そううん
俳句雑誌。 1911年4月創刊。荻原井泉水が河東 (かわひがし) 碧梧桐,大須賀乙字らの協力を得て新傾向俳句運動の中央誌として発刊。内容律,内在律を重視しての自由律俳諧の推進母体として発展する一方,ドイツ文学の紹介や,滝井孝作,久米正雄らの小説,石川啄木の短歌なども掲載し,幅広い句誌となった。季題無視,印象の律の主張へと井泉水の俳句観が変化すると,碧梧桐らが去り,14年からは井泉水の主宰誌として存続,尾崎放哉,栗林一石路,種田山頭火ら多くの俊秀を輩出した。井泉水没後は,伊藤完吾が発行している。
層雲
そううん
stratus
下層雲に属する層状の雲。略号 St。最も低いところに現れる雲で,水滴からなり,その多くは地表から 600mくらいの範囲に発生する。一様な雲層で霧に似ているが,地表面には接していない。雲層が薄い場合は,太陽や月が透けて見えることがある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の層雲の言及
【雲】より
… 一定体積中(1m3中)の雲粒の総量を雲水(くもみず)量という。これは層雲や高層雲などでは小さく0.05~0.5g/m3程度,小さい大陸性の積雲内で0.3~0.4g/m3程度,積乱雲中で1~3g/m3程度である(図3)。この量が大きいと雨滴の形成の速度が大きくなり,降雨の開始と密接な関係がある。…
【自由律】より
…【木俣 修】
[自由律俳句]
新傾向俳句が俳句の旧習を脱しようとしてあたらしい試みをしながらも,なお定型と季題を捨てきれなかったのを不満として,季題の拘束から離れ,自由な表現を試みたのが中塚一碧楼らで,俳誌《第一作》(1912)によってはじめてこれを試みた。これが自由律俳句運動のおこりで,1914年(大正3)には荻原井泉水が俳誌《[層雲]》でいっそう大胆な自由表現と季題無用論を唱えて加わり,さらに17年には河東碧梧桐も口語表現のさけがたいことを論じて運動に投じた。これを俳誌の面からいえば,前記《第一作》の後身《海紅(かいこう)》と《層雲》を主流として,碧梧桐の《碧》《三昧》,栗林一石路らの《俳句生活》を加えたものが自由律俳句の流れであった。…
【新傾向俳句】より
…(3)第3期 この趨勢を批判し,乙字は人事は季題にすべからずとして臼田亜浪の《石楠(しやくなげ)》により季題尊重の側に立った。[荻原井泉水]も11年《[層雲]》を創刊し,定型と季題を止揚して生命の律動を詠む自由律を提唱,碧梧桐と別れた。一碧楼は季題と形式にとらわれない自由表現を唱え,碧梧桐とともに15年《海紅》を創刊した。…
※「層雲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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