更年期出血(読み)こうねんきしゅっけつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「更年期出血」の意味・わかりやすい解説

更年期出血
こうねんきしゅっけつ

妊娠、炎症外傷腫瘍(しゅよう)などの器質的な異常からおこる出血でなく、正常な月経に関与する諸器官の機能の異常が原因でおこる子宮内からの出血を機能性子宮出血というが、卵巣機能が衰退する更年期に多発するこの種の機能異常に起因する不正出血を更年期出血という。その原因はホルモン分泌のさまざまな異常によることが多い。典型的な型は無排卵に伴う機能性子宮出血であるが、これは、エストロゲン(発情ホルモン)が長期間にわたって子宮内膜に作用する結果、この間無月経が続いたあとに長期の持続する子宮出血をきたすものである。この際、出血が多量になるために貧血をきたす場合がある。一般的に更年期にはさまざまな子宮出血があるが、器質的な疾患、とくに悪性腫瘍が原因である場合が少なくないので、細胞診や組織検査によってこの種の器質的子宮出血と鑑別することが重要である。治療としてホルモン療法や子宮内膜の掻爬(そうは)が必要な場合もある。

[新井正夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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