更年期(読み)こうねんき(英語表記)climacteric

翻訳|climacteric

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

更年期
こうねんき
climacteric

閉経期ともいう。女性が生殖機能を失い,月経閉止の起る時期をいう。体質,栄養状態,分娩の回数などによって個人差があるが,だいたい 46~55歳の間で,成熟期から老年期への移行期である。卵巣機能の衰微が進むため,月経の量および周期が不規則になり,数ヵ月ないし数年を経て閉止する。性器の萎縮,肥満,血圧変動などの身体的変化を伴いやすく,種々の内分泌機能および自律神経の失調から,身体,精神両面に更年期障害といわれる一連の症候群が現れることが多い。すなわち,顔がほてる,動悸,めまい,耳鳴り,高血圧,消化器障害,頭痛,記憶力減退,憂うつ症などである。多くは1~2年で自然になおるが,治療として近年ホルモン補充療法 HRTが注目されている。閉経後に激減するエストロゲンを補充するもので,女性に多い骨粗鬆症のほか動脈硬化や心筋梗塞などの予防にも効果があるといわれる一方,乳癌との関連性を懸念する向きもあり,評価は一定していない。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

更年期

女性の閉経をはさんだ約10年間、45~55歳あたりを指す。卵巣の働きが衰えるためホルモンのバランスが乱れ、様々な不調を引き起こす。日常生活に支障をきたすほど症状が重い状態を更年期障害という。

(2013-07-10 朝日新聞 朝刊 生活1)

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デジタル大辞泉の解説

こうねん‐き〔カウネン‐〕【更年期】

女性の、成熟期から老年期へと移行する時期。平均47歳ごろから始まる閉経期を中心とする前後数年間をいう。

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百科事典マイペディアの解説

更年期【こうねんき】

女性が成熟期から老年期に移行する期間。性機能の衰退に伴う月経閉止に前後する時期なので,閉経期ともいう。閉経年齢は,体質,出産の有無と回数,栄養状態などにより個人差があるが,普通40〜55歳。40歳以前の閉経を早発閉経,55歳以後の閉経を晩発閉経と呼ぶ。更年期障害がみられることが多い。
→関連項目月経

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栄養・生化学辞典の解説

更年期

 月経閉止の前後1〜3年を一般にいう.精神的にも身体的にも障害のでやすい時期であることから,特別に注目される.英語のclimactericは女性の月経停止に相当する男性の身体の変調期をもいうが,女性ほど明確な変化ではないとされる.

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大辞林 第三版の解説

こうねんき【更年期】

女性の性成熟期から老年期への移行期。月経周期が不規則になる頃から始まり月経停止後数年間に至るまでの期間で、生理的な卵巣機能の衰退期間。個人差はあるが、通常四〇~五五歳頃。閉経期。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

更年期
こうねんき
climacterium

女性の生殖期から生殖不能期への移行期をいう。すなわち、卵巣機能からみた女性としての成熟期から老年期への移行期に相当し、老化の始まる時期ともいえる。閉経(最終月経)はこの間におこり、統計的にみると、だいたい40~55歳で、平均寿命の延びから一般に閉経期がすこし遅れる傾向がある。なお、閉経は、経産婦に遅く、未婚婦に比較的早い傾向がみられるが、初潮や結婚の早い遅いには関係がないようである。また臨床的には、閉経を中心にした数年を閉経前期・閉経後期、あるいはまとめて閉経周辺期とよぶこともある。
 更年期における卵巣機能の衰退速度がやや急とはいっても、生体の機能はこれに微妙に適応するので、その変化を具体的に知ることはむずかしい。たとえば月経にしても、周期、期間、出血量がすこしずつ、さまざまに変化しながら閉経となる。また、たとえ閉経しても3~4年間はなお卵巣機能がある程度存続しているわけで、更年期の始まりと終わりを知ることは困難である。なお、排卵は閉経に先だってなくなるが、基礎体温表を記録しておけば確認できる。
 更年期になると、まず卵巣機能の失調から更年期出血(月経異常)がみられる。女性ホルモン(エストラジオール、エストロン)および黄体ホルモン(プロゲステロン)の産生低下が目だち、視床下部‐下垂体‐卵巣系のフィードバック機構によって生殖腺(せん)刺激ホルモンである卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンが急増され、体内の内分泌的環境に大きな変化がおこる。
 また、こうした内分泌変化に伴う女性らしさの衰えに対する焦り、閉経に対するショックをはじめ、家庭環境の変化など社会的・心理的ストレスも加わって身体的・精神的障害を引き起こすことがある。これを更年期障害という。
 なお男性の場合にも、加齢による生殖腺機能の衰退に伴った生体の反応が考えられる。50歳前後にみられる思考力や集中力などの減退、不安、孤独感、不眠など、精神的失調の発現から男性の更年期も問題にされるが、男性ホルモン(テストステロン)の産生低下はきわめて緩慢なため、愁訴の程度が軽くて普遍的でないとされ、一般には認められていない。[新井正夫]

更年期障害

更年期にみられる心身の症候的異常をいい、更年期症候群ともよばれる。その程度には個人差が甚だしく、日常生活に支障のない軽いものから、寝込んでしまう重症のものまであり、受診せずに耐えられるものを更年期失調とよんで区別することもある。
 愁訴にみられる症状は、月経前や月経中、つわりのころ、分娩(ぶんべん)後や流産後、両側の卵巣摘出後、老人などにもみられ、一般に精神神経系障害の発現率がもっとも高く、ついで血管運動神経系、運動器系、消化器系の各障害が多くみられる。
 更年期障害には二つの型があり、それぞれ原因が異なる。一つは自律神経性更年期障害で、老化に伴うホルモン分泌の変動から自律神経失調を招いたものをいい、大部分の更年期障害がこれである。他の一つは心因性更年期障害で、更年期に伴う心のわだかまりが原因となり、心身のストレスから自律神経症状を招いたものをいい、心身症の一部に含められる。
 訴える症状はいくつもあるのに、他人からみてわかるようなものがないのが特徴で、痛みやしびれなども更年期障害の場合は場所がはっきりせず、転々と移動する。すなわち、症状の現れ方が不定で、不定愁訴という表現がよく当てはまる。天候や家庭の状況などにも影響されやすい。また、症状が全部現れるわけではなく、いくつかが組み合わされる。一般に、熱感(体の一部分がほてるもの)、腰痛、頭痛、肩こり、疲労感(疲れやすい、虚脱感、精力が衰えたような感じ)を訴えるものが多い。
 治療は、自律神経性更年期障害に対しては自律神経のアンバランスを調整するのが本筋で、原因から考えて卵胞ホルモンの短期投与をはじめ、男性ホルモン、男女混合ホルモンなどの性ホルモンを主とし、ときに自律神経調整剤や精神安定剤などを併用する。心因性更年期障害にはホルモン調整療法は無効で、精神療法が主となり、ときに調整剤や安定剤が併用される。
 要するに、女性にとってはごく自然な生理的現象に似た、ちょっとした不適合症候群であるから、あまり気にすることはなく、できるだけ自分で適応していくように努力する。寿命の延びもあり、第二の新しい人生を迎える時期と受け止めていくことも必要である。
 なお、なかには器質的疾患もかなり含まれているので、一定の症状が持続する場合は診療を受けてみるのがよい。[新井正夫]

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世界大百科事典内の更年期の言及

【更年期障害】より

…更年期climactericとは性成熟期から老年期への移行期をいい,したがって男女ともに存在する。しかし,男性での移行はきわめて緩やかで,めだった変化や障害がほとんどないのに対し,女性では,排卵月経の〈みだれ〉や停止としてはっきりと認識できるばかりでなく,多くは後述のように,自律神経系の失調などの障害を訴える。…

【性】より

…一方,女性ホルモンの優位は女性の持続的体力の優位性をもたらすことになる。 しかし,この男女の性ホルモン比の差も,50歳前後の更年期になると縮まり,もとの幼小児期のレベルに両方が寄ってくる。ただ女のほうが,急速な卵巣機能の低下が起こるために,男よりも早くもとの男女性ホルモン比に戻ることになる。…

※「更年期」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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