改訂新版 世界大百科事典 「書会」の意味・わかりやすい解説
書会 (しょかい)
shū huì
中国の宋・元時代,都市経済の発達により,大都会の盛場の劇場や寄席では,芝居,講談,漫才,その他の演芸がさかんに演じられたが,それらの芝居や演芸の作者を〈才人〉といい,才人の組織した同業者組合を〈書会〉とよんだ。当時の戯曲小説には,個人の創作ではなく,書会による集団的創作であったものがかなりあり,のちの小説《水滸伝》なども,元来は書会によってまとめられたと考えられる。書会は単に創作だけでなく,流行作品の改作をも手がけ,書会間の競争も激しかったらしい。《武林旧事》《録鬼簿》《永楽大典戯文三種》などの当時の文献により,元貞書会,北京の玉京書会,または御京書会,杭州の古杭書会,武林書会,温州の永嘉書会,九山書会などの名称が知られるが,その詳しい組織や活動には不明な点が多い。なお《都城紀勝》では,郷校,家塾などと並んで書会の名が見えており,一種の教育的機能をも果たしていたらしい。
執筆者:村松 暎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報