日本大百科全書(ニッポニカ) 「有害腸内細菌」の意味・わかりやすい解説
有害腸内細菌
ゆうがいちょうないさいきん
腸内に存在する細菌のうち、人体に有害な影響をもたらすものをさす。俗に悪玉菌とよばれることもある。
腸管内に常在する多くの微生物群を腸内フローラ(腸内細菌叢(そう))とよび、これらは相互に関係しあって腸内環境を整えるように働くが、このバランスが崩れると健康を損なう原因となる。有害腸内細菌の代表にはウェルシュ菌(クロストリジウム属Clostridium)や病原性大腸菌などがある。これらはタンパク質から腐敗物質を産生する菌群で、悪臭のもととなると同時に、肌荒れ、便秘、下痢、さらには生活習慣病をもたらす原因ともなる。また、加齢に伴って増えていき、老化の促進にもつながる。
これに対して、健康の維持や増進に寄与する物質をつくりだす有用腸内細菌、通常はほとんどヒトの体に影響を及ぼさない日和見(ひよりみ)菌がある。日和見菌は有用腸内細菌優位であればこれを助けるように働くが、有害腸内細菌優位となるとヒトの健康を害する働きをおこす。
[編集部 2017年4月18日]