有害腸内細菌(読み)ゆうがいちょうないさいきん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「有害腸内細菌」の意味・わかりやすい解説

有害腸内細菌
ゆうがいちょうないさいきん

腸内に存在する細菌のうち、人体に有害な影響をもたらすものをさす。俗に悪玉菌とよばれることもある。

 腸管内に常在する多くの微生物群を腸内フローラ腸内細菌叢(そう))とよび、これらは相互に関係しあって腸内環境を整えるように働くが、このバランスが崩れると健康を損なう原因となる。有害腸内細菌の代表にはウェルシュ菌(クロストリジウム属Clostridium)や病原性大腸菌などがある。これらはタンパク質から腐敗物質を産生する菌群で、悪臭のもととなると同時に、肌荒れ、便秘下痢、さらには生活習慣病をもたらす原因ともなる。また、加齢に伴って増えていき、老化の促進にもつながる。

 これに対して、健康の維持や増進に寄与する物質をつくりだす有用腸内細菌、通常はほとんどヒトの体に影響を及ぼさない日和見(ひよりみ)菌がある。日和見菌は有用腸内細菌優位であればこれを助けるように働くが、有害腸内細菌優位となるとヒトの健康を害する働きをおこす。

[編集部 2017年4月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android