有用菌類(読み)ゆうようきんるい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「有用菌類」の意味・わかりやすい解説

有用菌類
ゆうようきんるい

人間にとって役にたつ菌類のことで、狭義にはカビ酵母キノコをさすが、広義には放線菌を含めた細菌類に対しても使われる。元来、有用菌類ということばは定義づけをもったものではなく、きわめて大まかな概念といえる。利用の面からいえば、菌類を直接食用薬用に供する食用・薬用の菌類、菌類の分解能や合成能を利用する発酵菌類、汚水処理など工業的に利用する菌類などに分けられる。近年、菌類の分類学、生態学、遺伝学、細胞学、生理生化学、さらには広範囲な科学技術などの総合的な発展に伴い、有用菌類の開発が行われつつある。今日の有害菌類が明日には有用菌類に変わる場合も考えられ、有用菌類の範囲は、既知の種類から未知の種類までと、無限の可能性をもって広がりつつあるといえる。

[曽根田正己]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android