本山寺(岡山県)(読み)ほんざんじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「本山寺(岡山県)」の意味・わかりやすい解説

本山寺(岡山県)
ほんざんじ

岡山県久米(くめ)郡美咲(みさき)町定宗(さだむね)にある天台宗の寺院。山号は岩間山(いわまさん)。本尊は聖観音菩薩(しょうかんのんぼさつ)。701年(大宝1)に頼観(らいかん)が、役行者(えんのぎょうじゃ)の修行地と伝えるこの地に一寺を建立して新山寺(しんざんじ)と称した。その後、鑑真(がんじん)が本山寺と改めたという。平安時代になって荒廃したが、1110年(天永1)に復興された。中世を通じて美作(みまさか)地方の天台宗の根拠地の一つとなった。江戸時代には、津山藩主森氏より400石の寺領を与えられ、藩内天台宗触頭(ふれがしら)となり、藩主の祈祷(きとう)所でもあった。寺宝は数多い。本堂(国重要文化財)は県下最古の本堂建築とされ、南北朝時代の建立。三重塔(国重文)、仁王(におう)門、長屋常行堂(以上、県重文)、花崗(かこう)岩製舎利塔(康永(こうえい)3年銘、国重要美術品)、花崗岩製宝篋印(ほうきょういん)塔(建武(けんむ)2年銘、国重文)など、古建築、什宝(じゅうほう)類が残されている。

水谷 類]

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