朱だるきやぐら
しゆだるきやぐら
建長寺が所在する谷の支谷にある回春院裏谷の最奥に位置し、西御門奥の尾根近くにある二十数穴のやぐら群のほぼ中央にある。「攬勝考」に「朱たるき窟」、「風土記稿」には「朱椽窟」と記され、江戸末期にはすでに知られていた。やぐらが木造墳墓堂と同じ目的で造られたことを示す典型例。
羨道をもつ大型のやぐらで、玄室奥壁の中央には舟形光背の彫刻があり、その表面は平滑に仕上げられていて、かつて描かれていた日月や雲唐草などの痕跡を残す。今は失われて像の種類はわからないが、このやぐらの本尊を飾る光背と思われる。この光背の前の天井には、方形に掘込んで表面を平滑にした上に朱と墨の痕がある。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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