日本大百科全書(ニッポニカ) 「べんがら」の意味・わかりやすい解説
べんがら
red iron oxide
酸化鉄(Ⅲ)α-Fe2O3を主成分とする赤色酸化鉄顔料の一般名で、酸化鉄系顔料中、生産量はもっとも多く、日本での生産量は16万8800トン(2006)。べんがらの名称は、最初に産出したインドのベンガル地方に由来するとされている。製法は、黒色酸化鉄あるいは黄色酸化鉄の熱分解、第二鉄塩水溶液にアルカリを加える方法など種々あるが、大部分のべんがらは硫酸鉄(Ⅱ)七水和物FeSO4・7H2Oからつくられる。すなわち、脱水して一水和物とし、トンネル炉、回転炉などで熱分解する方法で、温度、昇温速度、炉内雰囲気により色調を調節し、橙赤(とうせき)から紫色にかけての製品を得る。この色調は粒子の大きさに左右され、0.25~1.0マイクロメートルの間で、小さいほうから黄口、赤口、紫口となる。あらゆる塗料、ゴム、製紙、セメント、インキ、陶磁器の釉(ゆう)などの着色、ガラス、金属の研磨等に広く利用されている。
[大塚 淳]