朝日日本歴史人物事典 「杉田仙十郎」の解説
杉田仙十郎
生年:文政3.11.6(1820.12.11)
幕末明治期の大庄屋,県会議員。福井藩領越前国坂井郡波寄村(福井市)の人。衆議院議長杉田定一の父。天保14(1843)年父の後を継いで大庄屋となり,次いで福井藩惣会所の調和惣締役兼惣代助役,郷長,県会議員を歴任,この間地域のために九頭竜川の治水にも尽力した。長男定一が政治家になると(1・2回衆議院議員選挙に連続当選),物心両面にわたってその活動を支え,父祖伝来の田畑を手離して惜しむことがなかったという。安政4(1857)年大庄屋を罷免されたが,復帰を願った組下村々の嘆願書に,「菓子料は申すに及ばず,三季(中元や歳暮など)を聊も受納致されず」とあって,清廉の人柄が窺われる。石黒務知事も,仙十郎のために「わずらいも年の高きもものかはとすゝむ君こそ世の宝なれ」と詠んでいる。<参考文献>雑賀博愛『杉田鶉山翁』
(隼田嘉彦)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報