村本一生(読み)ムラモト カズオ

20世紀日本人名事典 「村本一生」の解説

村本 一生
ムラモト カズオ

昭和期のキリスト教徒 軍隊内で兵役を拒否したキリスト者



生年
大正3(1914)年3月27日

没年
昭和60(1985)年1月8日

出生地
熊本県阿蘇町

学歴〔年〕
東京工大染科化学科卒

経歴
東工大在学中の昭和10年「灯台社」の伝導師となる。13年に応召、熊本の歩兵13連隊、満州の関東軍守備隊を経て同年暮れ、神奈川県相模原市の陸軍工科学校に入ったが、翌年1月、班長に銃を返して兵役を拒否した。聖書の「汝(なんじ)殺すなかれ」を守るためだったが、軍法会議にかけられ、不敬、抗命罪で懲役2年、出所後も治安維持法違反で懲役5年に。晩年は妻と2人暮らしの自宅で、夜、近所の子どもたちに英語を教えていた。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「村本一生」の解説

村本一生 むらもと-かずお

1914-1985 昭和時代のキリスト者。
大正3年3月27日生まれ。東京工業大在学中の昭和10年,灯台社の明石順三から洗礼うけ,明石一家とともに全国各地で伝道。13年応召。翌年陸軍工科学校内で銃を返上して軍務を拒否し,懲役2年の刑をうける。戦後も明石順三と行動をともにした。昭和60年1月8日死去。70歳。熊本県出身。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の村本一生の言及

【灯台社】より

…彼らは聖書を無謬の記録とし,唯一の神を信じて偶像崇拝を禁じ,キリストの間近い再臨により,悪魔の支配する地上の制度・機構は滅ぼされるとし,戦争を聖書のいう殺人罪として認めず,兵役拒否を唱えた。39年明石順三の長男真人と伝道者村本一生の兵役拒否を契機に,灯台社は各地で一斉検挙され,信徒たちは逮捕され,40年に強制閉鎖命令,42年に建物の強制売却処分をうけた。明石順三は裁判で自分は皇室と日本を愛するが,天皇の神的権威を認めず,現在の日本は滅びると証言し,自分の戦いは1億の日本人との戦いであるが,いずれが真理かは間近く明らかになる,と断言した。…

※「村本一生」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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