灯台社(読み)とうだいしゃ

改訂新版 世界大百科事典 「灯台社」の意味・わかりやすい解説

灯台社 (とうだいしゃ)

ニューヨークのものみの塔聖書小冊子協会Watch Tower Bible and Tract Societyの日本支部で,明石順三(1889-1965)を支部長として1926年に結成されたキリスト教団体。彼らは聖書を無謬の記録とし,唯一の神を信じて偶像崇拝を禁じ,キリストの間近い再臨により,悪魔の支配する地上の制度・機構は滅ぼされるとし,戦争を聖書のいう殺人罪として認めず,兵役拒否を唱えた。39年明石順三の長男真人と伝道者村本一生の兵役拒否を契機に,灯台社は各地で一斉検挙され,信徒たちは逮捕され,40年に強制閉鎖命令,42年に建物の強制売却処分をうけた。明石順三は裁判で自分は皇室と日本を愛するが,天皇の神的権威を認めず,現在の日本は滅びると証言し,自分の戦いは1億の日本人との戦いであるが,いずれが真理かは間近く明らかになる,と断言した。明石順三,村本らは有罪判決で入獄したが,敗戦で釈放された。明石は47年本部の世俗化を批判し,その関係を断ったので灯台社は事実上消滅した。
ものみの塔
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「灯台社」の解説

灯台社
とうだいしゃ

1926年(昭和元)アメリカから帰国した明石順三が,神田繁太郎の協力により,ワッチタワー(エホバ証人)の日本支部として結成,大阪で伝道を開始。その後,東京荻窪に本拠をおく。三位一体説を否定し,神の絶対性を説いた。アメリカ本部出版の図書翻訳配布,28年月刊「黄金時代」(「なぐさめ」)を創刊。33年治安維持法の国体変革の罪に問われ第1次検挙,39年兵役拒否で第2次検挙をうけて消滅した。

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