日本歴史地名大系 「来美廃寺」の解説 来美廃寺くるみはいじ 島根県:松江市旧意宇郡地区山代村来美廃寺[現在地名]松江市山代町 来美茶臼(ちやうす)山北麓、細長い谷の奥に支丘となっている来美丘陵の南側斜面、標高約三〇メートルに位置する奈良時代の寺院跡。丘陵緩斜面を二、三段加工して寺地を造るが、未発掘のため寺域や建物配置は不明。緩斜面に造られた平坦面に礎石の抜取穴が残る。いくつかの礎石は松江市東朝日(ひがしあさひ)町の中国財務局松江財務事務所に移され、その一つは径一メートル余で、径〇・四七メートルの造出しをもつ。遺物として瓦・鴟尾片・鬼板瓦片、須恵器の高坏、甕片・土師器などが採集されている。瓦は軒丸瓦・軒平瓦が各三種、ほかに鬼板瓦片・丸瓦・平瓦がある。軒丸瓦のうち中房の外に重弁型式の単弁を八枚配置した蓮華文の周囲に反転しない唐草文をめぐらす瓦は、山口県長門市深川(ふかわ)廃寺、斐川(ひかわ)町天寺平(てんじびら)廃寺などと同系統のものである。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by