一冊
別称 出雲風土記
成立 天平五年二月三〇日勘造
写本 島根大学附属図書館(出雲国風土記鈔本)・細川護貞(細川家本)・上賀茂神社三手文庫(万葉緯本)・倉野憲司(倉野家本)・日御碕神社(日御碕本)など
解説 古代出雲国の地誌。和銅六年五月二日、元明天皇は風土記撰進の詔を発し、これに伴って諸国から奏進された解文の一つとされる。現存する風土記のうち唯一の完本で、史料的価値はきわめて高い。巻末の記載などによると、各郡の郡司らがそれぞれ草案を作成し、これを出雲国造兼意宇郡大領出雲臣広島が秋鹿郡人神宅臣金太理とともに一書にまとめたといわれる。全体の構成は三部からなる。第一部は国の総括的記述で、国名の由来・国土の沿革、神社・郡・郷・駅家・神戸などの統計が記される。第二部は出雲国九郡の郡別の記述で、各郡の郷・里の統計、郷・里名の改否、郡名の由来、郡家から各郷・里などへの路程、郷・里名などの由来、正倉の所在、寺院・神社・山・野・川・池・浜・島・産物、郡家から各郡界への路程などが整然と記され、各郡末尾に執筆責任者である主帳、編纂責任者の大領・少領・主政の署名がある。第三部は国の特別記述で、主要通道の順路と路程などや、軍団・烽・戍の所在が記される。文体は固有名詞以外はほとんど純粋の漢語・漢文で書かれた部分と、国語・国文脈を主とした準漢文体の部分に大別されるという。なお風土記撰進の詔から勘造まで二〇年の隔りがあることから本書を再撰とみる説があるほか、偽撰説・私撰説・勘造後増補説なども提起されている。
活字本 「田中卓著作集8」(風土記鈔本)・「修訂出雲国風土記参究」(細川家本)・「日本古典文学大系 風土記」(万葉緯本)・「日本古典全書」(倉野家本)、「寧楽遺文」下巻の昭和一九年刊(日御碕本)・同三七年刊(細川家本)など。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
諸国風土記の一つ。完全なかたちで伝わる唯一の風土記である。733年(天平5)2月30日成立。内容はほぼ713年(和銅6)の官命に対応し,国内の地勢や国・郡・郷などの名称の由来,国内の寺院・神社のようす,特産物などが詳細に説かれ,八束水臣津野(やつかみずおみつの)命による国引き神話なども含む。国府・郡家や駅家間の里程,軍団・烽(とぶひ)・戍(まもり)などの軍事的要素の強い記載も含むが,これは風土記成立の前年の節度使(せつどし)設置と関係するか。現存の諸本はすべて出雲国造家などに伝わる副本を祖本とする。「日本古典文学大系」所収。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
地誌。1巻。現存する五風土記のうち唯一の完本。733年(天平5)2月成立。出雲国9郡の地理、産物、伝説、神話などを郡ごとに記す。
[編集部]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…貞観(859‐877)ころ成立の《令集解》仮寧(けによう)令には,風土と郷土を同一視した例も見えている。だが風土記とよばれるものには和銅度のもののほかに,20年後の733年(天平5)に成った《出雲国(いずものくに)風土記》もあるが,これは節度使が編修主体となったもので,軍事的要素が加味されて実用性の強い地誌としてあらわれている。〈和銅風土記〉とはやや異質のものだが,この期のもの(豊後(ぶんご)・肥前(ひぜん)の風土記など)を含めて〈古風土記〉とよんでいる。…
※「出雲国風土記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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