日本大百科全書(ニッポニカ) 「斐川」の意味・わかりやすい解説
斐川
ひかわ
島根県東部、簸川郡(ひかわぐん)にあった旧町名(斐川町(ちょう))。現在は出雲市の東部を占める。宍道(しんじ)湖西岸にあり、北部を斐伊(ひい)川が東流する。旧斐川町は1955年(昭和30)荘原(しょうばら)、出西(しゅっさい)、伊波野(いわの)、直江(なおえ)、久木(ひさぎ)、出東(しゅっとう)の6村が合併し斐川村となり、1965年町制施行。2011年(平成23)出雲市に編入。JR山陰本線、国道9号が通じ、出雲空港もある。出雲平野の東部にあり、整然とした水田と刈り込みの行き届いた築地(ついじ)松に囲まれた散村風景が展開する。穀倉地帯であり、米作のほか、チューリップの球根、ブドウの栽培も行われる。出西・伊波野一里塚、荒神谷遺跡は国指定史跡。1995年(平成7)荒神谷史跡公園が開園し、1998年には荒神谷遺跡出土青銅器群が国宝に指定された。東部にある湯の川温泉は大穴牟遅神(大国主神)を追い掛けてきた因幡国の八上比売が発見したとの伝承がある古い温泉である。旧斐川町の人口は2万7689(2010国勢調査)。
[小松 聰]
『『斐川町史』(1972・斐川町)』▽『『斐川町史 その後』全2巻(1980、1986・斐川町)』