山川 世界史小辞典 改訂新版 「東アジア文化圏」の解説
東アジア文化圏(ひがしアジアぶんかけん)
中国,朝鮮,日本,ベトナムなどの東アジア世界に共通する文化現象をいう。特に漢字,儒教,仏教(漢訳仏教),律令などが,東アジアの冊封体制をとおして中国から広がった。そのほかに箸(はし),茶,麺(めん),紙,陶磁器などの中国文化も広がったが,これらは東アジアに限るものではない。同一の文化圏といっても,中国文化の受け手の側には,当然固有の文化もある。日本は漢字を用いたが,やがて仮名を作り出して大和(やまと)言葉で表記し,朝鮮半島でも漢字だけでなくハングル文字,ベトナムでもチュノム文字を生み出した。また日本は唐代の律令を受容したが,同姓不婚の条文は削除した。これらの例をみれば,中国文化を受容した側にも,主体性をみる必要がある。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報