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 かみ paper

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9件 の用語解説(紙の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


かみ
paper

カセイソーダあるいは石灰を加えて煮沸した植物の繊維を水中に懸濁させ,すき網でこし,乾燥して製品としたもの。洋紙板紙,加工紙,和紙に大別される。製法は,後漢の官吏であった蔡倫が発明したと伝えられるが,製紙技術が中国から他の国々へ伝えられたのは5~6世紀以降のことである。

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デジタル大辞泉の解説

かみ【紙】

《字を書くのに用いた竹のふだをいう「」の字音の変化という》
植物などの繊維を絡み合わせ、すきあげて薄い膜状に作り、乾燥させたもの。情報の記録や物の包装のほか、さまざまな用途に使用。製法により、手すき紙・機械すき紙・加工紙に分けられる。手すき紙は、105年に中国後漢蔡倫(さいりん)が発明したとされ、日本には推古天皇18年(610)に伝わり、和紙へと発達。機械すき紙は、18世紀末にフランスで成功し、パルプを用いる製造法が発明され、日本には明治期に洋紙板紙工業が興った。仕上げ寸法はJIS(ジス)の規格によりA列とB列とがある。→A判B判
じゃんけんで、指を全部開いて出すしぐさ。ぱあ。
書籍・雑誌・新聞・文書など、1を使って情報を記録したもの。特に、電子媒体に対する紙媒体のこと。「の辞書」「議事録をで管理する」

し【紙】[漢字項目]

[音](呉)(漢) [訓]かみ
学習漢字]2年
〈シ〉
かみ。「紙質紙幅紙幣懐紙製紙台紙白紙半紙筆紙表紙別紙用紙和紙
新聞のこと。新聞紙。「紙上本紙機関紙
〈かみ(がみ)〉「厚紙油紙型紙手紙鼻紙
[難読]紙鳶(いか・いかのぼり)紙衣(かみこ)紙縒(こよ)り紙魚(しみ)

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
(C)Shogakukan Inc.
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百科事典マイペディアの解説

紙【かみ】

植物繊維を水中で薄く平らにからみ合わせ,乾燥したもの。最近では化学繊維紙ポリスチレンペーパーもある。古代エジプトパピルス小アジア羊皮紙が古くから記録材料として用いられていたが,今日の紙の製法は105年,中国の蔡倫(さいりん)の大成といわれ,8世紀中ごろにイスラム圏に伝わり,12世紀にはヨーロッパ各地に普及。
→関連項目化学繊維紙雁皮紙蔡倫

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栄養・生化学辞典の解説

 食品の容器にも広く利用される.

出典|朝倉書店
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世界大百科事典 第2版の解説

かみ【紙 paper】

植物繊維を水で分散させ,無機または有機添加物を加えてシート状に作り,脱水乾燥させ,印刷,筆記,包装などの用途にあてるものを紙という。この定義によれば,ヨーロッパ各国の紙の語源となっている古代エジプトのパピルス紙は厳密にいえば紙ではない。パピルス紙はパピルスpapyrusの茎を薄くはぎ縦横に並べて強く圧縮してシートにしたもので,繊維分散液から作ったものではないからである。化学繊維フィルムから作った紙も定義から外れるが,紙と同じ用途にあてる紙に類似したものは合成紙と呼ばれている。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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大辞林 第三版の解説

かみ【紙】

植物の繊維を水中で密にからみ合わせ、薄く平面状にのばして乾燥させたもの。中国、後漢の蔡倫さいりんがその製法を発明したといわれる。絵や文字を書いたり、物を包んだり、障子や襖ふすまに貼ったりするのに用いる。和紙はミツマタ・コウゾ・ガンピなどの靭皮じんぴ繊維を原料とし、手すきで作る。洋紙は木材パルプなどを原料とし、これをくだいて溶かし、サイズ剤・塡料てんりよう・色素などを加え、抄紙機で機械的に仕上げる。最近は合成繊維からも作られるようになった。 → パルプ
じゃんけんの手の一。開いたてのひらで示す。ぱあ。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


かみ
paper

植物の繊維を水に分散させたものを、薄く平らに漉(す)き上げて乾燥させたもの。植物から取り出した繊維の集合体であるパルプに水を加えて強力に攪拌(かくはん)すると単繊維状に離解し、さらにたたいたうえ、水を大量に加えた希釈液を金網、プラスチックの網または簾(すだれ)などで、繊維が絡み合った薄い膜状の湿紙として漉き上げ、次にこの湿紙の余分な水を絞り取り、乾燥させるとシート状になる。情報の記録、伝達、および物の包装の三つの大きな用途に大量に消費されるほか、非常に多種の用途に供される。その多彩な用途に対応して多種類の紙がつくりだされたが、なお新たな用途が広がり続けている。そのため製造に際して添加剤を用いたり、製品をさらに加工したりして、新製品が生み出されている。
 情報の記録や伝達に用いられた、羊皮をもんでつくった羊皮紙(パーチメントparchment)や、竹材を薄く削って得た竹片(竹簡)などは、前述の定義に該当せず、紙とはいわない。しかし、技術の進歩や他業種との交流によって多くの新素材が供給されるようになった今日、木材パルプと人造繊維や合成繊維、さらにはグラスファイバー(ガラス繊維)と混合抄紙(しょうし)した紙状のものや、合成繊維を紙状に抄(す)いた合成繊維紙なども生み出された。さらに、合成高分子(プラスチック)を薄くシート状に延ばし筆記や印刷を可能にした合成紙など、紙に似た新製品が少量ずつではあるが数多く現れて、これらも広義の紙として扱われる。また木材パルプや古紙の再生パルプでつくられた段ボール用の板紙や肥料袋、セメント袋などに用いられる包装紙も紙のなかに含まれる。なお、日本では統計上、このようにきわめて多種類の紙のうち、その一部を紙(洋紙)・板紙としてくくり、和紙と大別している。[御田昭雄]

紙の歴史


紙の発明以前
古代から人類が情報を記録して後世に残そうとする欲望は大きく、石を並べたり、碑(いしぶみ)を建てたり、石で記念の塔などを建造したが、人知が進むにつれ、より多くの情報を残せるように、石塊に比べて薄い石板や粘土板をつくり、これに文字を刻んだりすることを覚えた。
 さらに下っては、動植物のなかから文字の書ける媒体を求め、種々の薄片をつくりだした。中国では木や竹を切って薄片をつくり、また牧畜の盛んな中近東地域では獣皮の薄片(パーチメントなど)をつくって文字を書くようになり、情報の記録と伝達とを可能にした。
 紀元前3700年ごろ、エジプトではナイル川の河岸に生えるパピルスpapyrus(カヤツリグサに似た植物。三角形で草丈1.5~2.0メートルに達する)を用いて新しい情報の記録と伝達の媒体の発明に成功した。パピルスの茎を収穫し縦に裂いて得た薄片を縦横に並べ、水を加えて打ちたたいて密着させ、乾燥させると、いわゆるパピルスが得られるが、これは強度が大きく、いまなお保存されているものがある。パピルスは英語のペーパーをはじめとするヨーロッパ各国語の「紙」の語源となっているが、前述の定義における紙ではない。[御田昭雄]
紙の発明
今日の植物繊維紙は、『後漢書(ごかんじょ)』巻108「宦者(かんじゃ)列伝」によると、中国の後漢の和帝のときの元興1年(105)蔡倫(さいりん)が樹皮、布、魚網を利用し、今日の紙の定義に当てはまる紙を発明したとされているが、前漢の時代にはすでに紙が発明されていたともいわれる。この時代につくられたとみられる紙がシルク・ロードの敦煌(とんこう)で探検家のM・A・スタインによって発見されたが、純粋なぼろからつくられたものであることが確認されている。このように中国における紙の発明は古く、アサ、タケ、稲藁(いねわら)、ワタ、コウゾ(楮)などを原料として多くの人々によって改良されたものとみられている。
 紙の発明は一見素朴で、原料は麻布のぼろ、古い魚網などで、操作もきわめて単純であるが、約2000年以上経った今日でも、この手法で熟練した職人がつくれば、あらゆる紙のなかでももっとも大きな強度をもったすぐれた麻紙が得られることからみても、驚異的な発明であったといえる。[御田昭雄]
(でんぱ)">製紙技術の伝播(でんぱ)
古来中国では優れた技術の国外流失にきわめて厳しかったので、世界中で渇望していたにもかかわらず、紙の技術も国外に伝わるのにきわめて長い時間がかかった。紙は植物繊維を原料とするパルプを中間原料としてつくられる。製紙工場は通常パルプの製造設備と一体化し、パルプ技術とともに製紙技術は移転した。植物原料によってパルプの繊維長が異なり、強度も性質も異なるので、国、地域によっては、中国とかなり違ったパルプと紙の製法が必要となり、さまざまなくふうがなされ、新しい紙パルプの技術と知識が加えられていった。19世紀中葉に欧米で木材のパルプが生まれ、その技術は急速に普及し世界中は木材紙の時代となったが、それまでの2000年近くの間、世界でつくられた紙はいずれも非木材紙ということになる。[御田昭雄]
製紙技術の西への伝播
中国で1世紀ごろに発明された製紙技術は国外になかなか流出しなかったが、150年ごろには中国の辺境のトルキスタン地方まで技術の移転が行われていた。アラビア軍が唐軍と中央アジアで戦って唐軍を大破し(751)、トルキスタンの首府サマルカンドは陥落した。捕虜のなかに製紙技術をもつ中国人がいたため、その技術はアラビア人に習得されて移転を始め、順次西に工場が建てられるようになった。793年にアラビア人によってバグダードに建てられた製紙工場は、10世紀にはエジプトのカイロを中心にして多く建てられ、アマ(亜麻)を原料とする製紙が行われた。
 11世紀にアフリカ沿岸地方で盛んになった製紙技術は、スペインに侵入したムーア人によってスペインのバレンシア地方に伝えられ、当地に工場が建設(1151)されたのが、ヨーロッパにおける製紙工場の始まりといわれる。イタリア(1276)、フランス(1348)、ドイツ(1390)、イギリス(1494)、オランダ(1586)などに順次製紙工場が建てられたが、ついに1690年に大西洋を渡り、製紙工場はアメリカのフィラデルフィアに建設されるに至った。
 欧米に渡った製紙工業は、グーテンベルクの活字の発明による印刷工業の発展に伴う大量の紙の需要に支えられて隆盛を続けたが、技術的にも大きく発展した。オランダでは叩解(こうかい)装置ホレンダーが発明されたため、とくに良質の紙が製造されるようになり、また18世紀の末にフランスのロベールNicolas Louis Robert(1761―1828)が長網抄紙機(ながあみしょうしき)を発明して、紙の大量生産を可能とする糸口をつくったが、パルプの慢性的な不足に長い間悩まされ続けた。[御田昭雄]
製紙技術の東への伝播
一方、中国で発明された製紙技術は、日本には朝鮮を経て推古(すいこ)天皇の代(610)に僧曇徴(どんちょう)によってもたらされたと伝えられる。日本においては紙が神聖視されたせいか、ぼろを原料として使うことを避けたので、製紙技術は原料、助剤および抄紙技術に種々くふうが重ねられ、中国や朝鮮の紙に比べはるかに強靭(きょうじん)かつ優美な、いわゆる和紙が完成された。すなわち、原料としては中国が麻ぼろパルプ主体であったのを、おもにコウゾの皮、一部ではガンピ(雁皮)の皮も用い、これを木灰で蒸煮し、いったん長繊維のパルプにして使用した。また抄紙に際してはトロロアオイやノリウツギからとった粘液ねりを助剤として使用し、流し漉(ず)きの技術を生み出すことにより、コウゾパルプのような長繊維パルプからでも、薄くても均一で、ごみがなく美麗かつきわめてじょうぶな和紙を製造しうるようになった。その後、室町時代の後期から江戸時代の前期にはミツマタ(三椏)からも製紙用パルプが得られるようになって、さらに製造しうる紙の種類と量とは増加した。[御田昭雄]
木材パルプの発明
中国では衣服に多く麻が使われていた。そして麻ぼろから得られる麻パルプに中国の製紙工業は頼った。それに対し、ヨーロッパでは衣服として綿製品が多く使われたので、綿ぼろから得られる綿パルプに製紙工業は頼らざるをえなかった。[御田昭雄]
ヨーロッパにおける木材パルプの発明
ヨーロッパでは、原料パルプの供給は紙の大量需要にこたえられない状態が続いたため、19世紀中葉に、北ヨーロッパおよび北アメリカで、その地方の針葉樹を原料としてグラインダーを使って丸太を機械的にすりつぶす、砕木法(GP法)が発明された。このパルプは粗悪で、単独では抄紙が不能なほどであったが、増量材として綿パルプを混ぜて紙の増産が可能となった。これに刺激されて、綿パルプを使わなくてもじょうぶな紙が漉ける木材パルプの製造法が研究され、木材チップからじょうぶな木材パルプを化学的に製造する方法として、1853年にアルカリ法(AP法)、1867年に亜硫酸法(SP法)、さらに1885年にクラフト法(KP法)が次々と発明された。これらの方法で木材パルプを大量に生産するためには、大量の木材と水を使い、大量の排水と排気を出すことになるので、パルプ工場は木材と水を求めて僻地(へきち)に工場をつくり、一方、製紙工場は消費者の好みにあわせて各種の紙を生産するため、従来どおり消費地の近くに立地したので、パルプ工場と製紙工場の分離が始まった。
 ヨーロッパではすでに叩解機、抄紙機等の製紙機械の発明があり、さらに木材パルプだけで良質の紙がつくれるようになったので、安価な紙の大量生産が可能となった。このように長い間かかって中国から欧米に渡った非木材パルプと非木材紙の製造技術は、木材パルプと木材紙の製造技術に変身、発展し、短い間に世界中に普及した。産業としても、家内工業的な非木材紙工業は近代的な基幹産業ともいえる洋紙・板紙を製造する紙パルプ工業に変貌(へんぼう)を遂げた。[御田昭雄]
日本における紙パルプ工業の展開

明治以後第二次世界大戦まで
明治政府は欧米のあらゆる技術の導入に積極的に努めたが、早い時期に洋紙の製造が、やや遅れて木材パルプの製造が始まり、安価にして優良な紙が大量に供給できるようになった。
 日本は国土の面積の約3分の2が山林で、広葉樹林と針葉樹林が約半分ずつを占めていたが、広葉樹材は北ヨーロッパの針葉樹を原料とするパルプ化技術では優れたパルプにはならず、ほとんど薪炭(しんたん)材として使われていた。また針葉樹材は建材、坑木その他の需要が多く、資源として不足するうえに、本土に多いマツの類は樹脂分が多くてパルプ化しにくかった。しかし北海道にはエゾマツ、トドマツなど比較的樹脂の少ない針葉樹が多く、紙パルプ工業はそれらを用いて亜硫酸パルプと砕木パルプをつくり、これを中間原料として新聞用紙をはじめ各種洋紙・板紙を製造して成長した。その後日本の紙パルプ工業はさらに発展し、北海道の木材資源では足りなくなり、樺太(からふと)(サハリン)、満州(現、中国東北部)に針葉樹を求めて工場を展開した。[御田昭雄]
第二次世界大戦以降
第二次世界大戦で日本は樺太と満州の紙パルプ工場を失ったうえ、本土の工場の多くは戦災を受け、戦後2年目にはパルプの生産量は20万6000トンに、紙の生産量は21万トンにまで減少し、極端に紙が不足した(1人当り年間消費量3キログラム以下)。そのころ海外のパルプ工業では数々の画期的新技術が工業的に成功し、それが次々と日本に導入され、資源不足にあえいでいた日本の製紙工業は大きく発展した。そのなかで、界面活性剤による樹脂の除去技術は本土のマツ類のパルプ化を容易にした。また液体サイクロンによる夾雑物(きょうざつぶつ)の分離技術は、廃材などの低質のチップから得られたパルプの精選にきわめて有効であった。しかし、もっとも大きかったのは、クラフトパルプにおける連続蒸解(連続的に煮てパルプ化すること)技術や多段漂白技術などの画期的な技術改良であり、これによって、良質のパルプを安く大量生産することが可能となった。さらにパルプ廃液を濃縮・燃焼処理し、蒸解薬品を回収するとともに、蒸気、電力のエネルギーも同時に回収できるようになり、パルプのコストと排水による公害問題を当時の社会基準の範囲内に押さえることに成功した。
 1950年代の前半に、中近東で大量の石油が産出されるようになってエネルギー革命がおこり、世界の経済を活性化するとともに多くの産業は変貌を遂げた。日本では山村でも石油こんろを使うようになったために、本土の山林の半分を占めていた広葉樹は薪炭材としての用途がなくなり、その大半がパルプ原料にかわり、日本の製紙工業は大いに発展した。またそれまで世界中のほとんどのパルプ工場と製紙工場は別々に立地されていたのが、日本ではパルプ紙一貫生産体勢を目ざして、パルプ工場は敷地内に製紙工場を建設し、大きな製紙工場は隣接地にパルプ工場の建設を行った。そのため大都市のなかにセミケミカルパルプ(SCP)の工場が出現し、パルプ廃液をたれ流すという世界的にもまれな事態のなかで日本の紙パルプ産業は躍進を続けた。
 日本の紙パルプ産業は国内の木材資源には恵まれていなかったが、1964年(昭和39)には木材チップを海外から専用船で運ぶようになり、1億人の消費者と消費地のなかに紙パルプ一貫工場をもつという強みを生かし、世界の巨大企業と競争し、さらに発展し続けるかと期待された。[御田昭雄]
紙パルプ工業の発展と公害問題
資源がない日本は、第二次世界大戦後さらに疲弊したが、生産第一主義で走り続け、いち早く戦後の復興をなし遂げ、奇跡ともいうべき繁栄を手にした。そのため多くのひずみもたまり、1971年の田子ノ浦事件をはじめ多くの公害事件がおこった。
 パルプ工業において、化学パルプ(CP)の収率は通常約50%かそれ以下であるので、パルプを製造する際、パルプと同量かそれ以上の木材成分がパルプ廃液をつくりだすことになる。当時クラフト法以外のパルプ工場は濃縮燃焼処理をしていなかったので、廃液は排水となって大量に河川や海に流れ出ていた。一方、クラフトパルプ工場では硫化水素やメチルメルカプタンなどの悪臭物質が発生し、そのまま大気に放散されていた。また古紙を集めて紙を再生する工場では、古紙に対する収率は約3分の2で、その再生パルプの約半量のスラッジ(ごみ)が発生し、当時はこれが捨てられていたのである。
 さまざまな公害問題が発生するなかで、それまでの生活を無視した産業推進が批判され、世界が注目するなかで人間と生活環境の抜本的見直しと、公害処理の研究、開発、さらに法の整備と実施が始まった。1973年当時国内の化学パルプ生産量624万トンのうち5.8%を占めていた製紙用の亜硫酸パルプの生産量は、現在では統計上からほとんど姿を消し、クラフトパルプがそれにとってかわるなど、徹底して廃棄物の少ない製法に切り換えられ、短期間に世界中から称賛されるほどの改善の効果が得られた。[御田昭雄]
オイル・ショック後の紙パルプ工業
さらに1973年にオイル・ショックがおき、石油製品の高騰につれ、紙パルプを含むあらゆる産業は、エネルギー、資源、環境についてグローバルな見地で見直さなければならないことを知った。FAO(国連食糧農業機関)の統計によれば、その年、日本のパルプ生産量は1009万5000トンと初めて1000万トンを超え、紙の生産量は1597万5000トンと初めて1500万トンを超えたが、いずれも翌年から下降した。そして日本においては、もはやエネルギー多消費型の製品の製造および処理法は存続できなくなった。たとえば収率がきわめて高いが、電力消費量もきわめて大きい砕木パルプなどは、電力も木材も豊富で安いカナダなどで生産し、さらに現地で紙にして輸入するように変わるなど、国際分業が進んだ。1973年と2013年(平成25)時点を比較すれば、クラフトパルプは、パルプ廃液から薬品のほか蒸気、電力の形でエネルギーをほぼ完全に自給できる強味を生かし、その生産量は589万7000トンから807万6000トンに増加し、全パルプ生産量に対する割合も58.4%から91.3%へと圧倒的なものとなった。機械パルプ(MP)は137万6000トンから66万6000トンに減少し、全パルプ生産量に対する割合は13.6%から7.5%に減り、またセミケミカルパルプは198万8000トンから1万9000トンに、全パルプの生産量に対する割合も19.6%から0.2%に激減するなど、きわめて厳しい対応を迫られたことがわかる。
 しかし紙パルプ業界は資源、エネルギー、環境等の諸問題を克服しながら生産に励み、省エネルギー化では、洋紙・板紙のエネルギー原単位(製品1トン生産するのに要するエネルギー消費量)は1973年を100として1989年には57、2012年度には35.2にまで減らすことに成功している。このような努力の結果、1999年には国内のパルプの生産量は1105万6000トンとなり、紙の生産量に至っては初めて3104万トンと3000万トンの大台に乗った。これは第二次世界大戦直後の1946年の約150倍に成長したことを示すとともに、年間1人当りの紙の消費量は273キログラムと当時の100倍近くに増えたことも示している。2013年時点では、製紙用パルプの生産量は877万4000トン、紙・板紙の生産量は2624万トンとなっている。
 和紙の分野でも、靭皮(じんぴ)パルプのほか、麻パルプや木材パルプを用い、ビーターやヤンキーマシンなどの洋式抄紙装置を利用して、いわゆる「機械抄き和紙」を比較的安価に製造しうるようになった。また和紙の製造技術も、伝統の流し漉きの技術のほかに欧米の溜(た)め漉き技術を加え、手漉きで、きわめて優美かつ高価な工芸品的な紙が、少量ながら生産されている。これらの工芸的和紙は、原料として高価、良品質で長繊維の非木材パルプを用いており、多くの開発途上国で製造されている、タケ、麦藁などを原料とする粗悪または安価な短繊維の非木材パルプを用いた洋紙・板紙とは大いに趣(おもむき)を異にしている。[御田昭雄]
製紙工業の現状
「紙の消費量は一国の文化のバロメーターである」といわれてきた。2013年時点の生産量および消費量などを調べてみると、紙・板紙は世界で年間4億0261万トンが生産されている。これを世界の人口で割ると1人当りの消費量は約56.5キログラムとなるが、実際には全消費量4億0364万トンの25.1%にあたる1億0136万トンを中国、17.8%にあたる7181万トンをアメリカ、6.8%にあたる2731万トンを日本が消費しており、この3か国で約50%を占めていることになる。
 紙は当初情報の保存と伝達のために発明されたが、すぐれた多くの性質を有するため、それ以外の用途も生まれ、それに対応して数百種類の紙が生まれた。世界の紙の生産量が4億トンであることは前述のとおりであるが、その4億トンの紙を生産するのに直接必要な原料のパルプ生産量は2013年時点で約1億7936万トンにすぎない。紙の生産量に比べパルプの生産量がかなり小さいのは、抄紙の際に添加する填料(てんりょう)(不透明性を出すために使用する陶土など)の分もあるが、大部分は資源、環境に対する意識の高まりから古紙の回収率が向上し、製紙に使えるパルプが再生できるようになって、木材が節約されるためである。
 とくに日本では古紙の回収率が2013年に80%を超え、再生したパルプを配合して各種の紙の製造に供するなど、高度の再生技術は世界的な注目を浴びている。一方、農産廃棄物などから良品質の非木材パルプを製造し、さらに製紙しようとする研究も各国で行われている。なかでも、過酸化水素にアルカリを添加した溶液で処理する過酸化水素アルカリ法(PA法)は、非木材パルプの製法として大いに期待されている。[御田昭雄]

紙の製法


パルプ
紙はパルプを中間原料とする。紙は一般に薄く、パルプは一般に厚紙状のものが取引される。木材パルプは数種しかないが、これから製造される紙は種類がきわめて多く、300~500種類にも分類されるほどである。薄い紙のなかには、パルプを構成する1本1本の繊維の太さの約30マイクロメートルよりも薄いものもあり、板紙のなかにはパルプのシートより厚く、水にも容易にぬれないものもある。このように性質の異なる多品種の紙を数種類のパルプを原料として製造可能とするため、叩解をはじめとするパルプの加工、異種のパルプの配合のほか、填料、色料、サイズ剤など各種助剤の配合や、抄紙に際しては抄き合わせ、さらには、いったんできた紙の塗工、加工などが行われる。
 紙の原料となるパルプには木材パルプと非木材パルプがあるが、日本では非木材パルプの使用量は1%以下ときわめて少なく、木材パルプの消費量が圧倒的に多い。木材パルプの種類は少なく、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、さらに製法によっていくつかに分類される。しかし木材パルプの原料となる樹木の種類は多く、種類、樹齢、部位によって組成、繊維長を異にするが、いずれも幹と枝の木質部を利用する。[御田昭雄]
完全紙料の調製
1種または2種以上のパルプを離解して配合し、適宜に叩解を行って繊維の形状とコロイド性とを変え、さらに填料、サイズ剤、色料などの助剤を加えて抄紙可能な状態にしたものを完全紙料といい、これらの操作を完全紙料の調製という。[御田昭雄]
離解
紙はパルプが均一に分散された懸濁液(けんだくえき)から抄かれなければならない。通常、製紙工場に搬入されるパルプは厚紙状なので、初めに攪拌機のつく水槽に投入し、単繊維状態になるよう分散させる。この操作を離解といい、離解専用につくられた装置を離解機という。小さな製紙工場ではビーターで離解と叩解とを続けて行う例も多い。[御田昭雄]
叩解
パルプは水でぬらしてたたくと、繊維の構造が壊れてもとの繊維体より細い糸状体ができる。これをフィブリル化するといい、繊維の表面積が増え水和・膨潤が進んでコロイド性が変わる。この操作を叩解という。離解したパルプを叩解し、水中からフィブリル化した繊維を膜状物(湿紙)にして抄き上げると、互いの繊維の接着面積は増えるため、まったく接着剤を用いなくても、あとは乾かせば繊維間の距離はしだいに近づき、水素結合が急速に増すため、強度の大きい紙が得られる。
 パルプから紙を得るためには、通常、この叩解の作業が不可欠である。叩解の工程では、長すぎる繊維は切断して短くそろえ、太すぎる繊維は裂いて細くし、切断して、膨潤させ、一次膜を除去するばかりでなく、パルプの懸濁液中に残る離解不完全な繊維束を分散させる。これによって、均質で強度のある紙を製造することが可能となる。また求めに応じて原料パルプの単繊維1本の太さよりも薄い紙を抄造することも可能となる。
 叩解により得られる紙の強度は、引き裂き強さ以外の諸強度は著しく増加する。ただし、パルプは叩解の際に大量のエネルギーを必要とするうえ、保水性が著しく増加し、抄紙の際の水切れが悪くなるので、抄紙速度を落とす必要が生じるなどの制約を受ける。
 叩解に用いる装置を叩解装置といい、ビーター、エッジランナー、ディスクリファイナー、ジョルダンエンジンなど機種は多いが、かつてはビーターがもっとも多く使われた。ビーターは18世紀オランダで発明されたためホレンダーともよばれ、種々改良されたが、この型の叩解機は、パルプの叩解のほか離解の作業にも使え、さらにはサイズ剤、填料、その他の助剤との混合にも使えるため、日本では1950年代までは主力として活躍した。回分式(バッチ式)で始動に大量の電力を消費するなどの欠点が目だつので、大型工場ではビーターを使わず、その後開発された離解機とディスクリファイナーなどの連続運転が可能な叩解機を組み合わせて連続化、省力化、省エネルギー化が図られている。現在でも、多品種、少量生産を旨とする特殊紙や機械抄き和紙の製造の際には、離解から叩解、製紙用助剤の混合まで完全紙料の調製の全工程が1台の機械でこなせるので、ビーターが愛用されている。
 叩解機は内側に歯が植えられ、回転体(ローター)が収容しうる軸受をもつ外殻(ケーシング)と、外側に歯が植えられているローターとからなる。離解したパルプの懸濁液を入れて叩解機を回すことにより、パルプは叩解作用を受ける。パルプの濃度を下げてケーシングとローターとの間隙(かんげき)を狭めると繊維の切断がおこりやすくなり、これを抄紙した場合水はけがよく、さらさらした紙が得られる。このような叩解を遊離状叩解という。一方、パルプの懸濁液の濃度をあげ、ケーシングとローターとの間隙を広くすると、パルプのフィブリル化が進んで保水性があがり、得られる紙は諸強度が大きく、緻密(ちみつ)かつ表面平滑で、透明度が高くなりやすい。このような叩解を粘状叩解という。
 叩解工程はもっとも重要な前処理工程であるが、大量のエネルギーを必要とするため、省エネルギー叩解技術の必要性が論じられるようになった。[御田昭雄]
サイズおよびサイズ剤
紙は親水性のセルロースの絡み合いでできていて、多孔質で液体を吸収する性質をもっているので、インクなどで過度ににじまないよう、また表面性を改善するために耐水性の薬品で処理する必要がある。この操作をサイジングsizingといい、用いる薬品をサイズ剤という。水などの液体を吸収するための吸取紙や、物を分離して純粋なものを取り出すために用いる濾紙(ろし)などの特殊な紙には当然サイズは行わないが、通常の紙には種々のサイズが施される。
 サイズには、抄紙に先だって行う内添サイズと、抄紙後に行う外面サイズとがある。内添サイズの代表的なものとして、微酸性で行うロジンサイズがあるが、このほかに中性で行うサイズもある。
 ロジンサイズは松脂(まつやに)とアルカリでロジンせっけんをつくり、定着剤として硫酸アルミニウムを加える。叩解したパルプは初めロジンせっけんで処理し、さらに硫酸アルミニウムを加えて液を微酸性にすることによって、繊維の表面に水に不溶性のロジンのアルミニウムせっけんを析出させて、紙の親水性と撥水(はっすい)性の調節を可能にする(酸性紙)。効果のあるサイズが簡易に行えるので、ロジンサイズは長らく主流の地位にあったが、紙を構成するセルロース繊維が酸性に弱いため、ロジンサイズを施した図書館などの貴重な蔵書が100年以上の長い年月の経過により劣化してぼろぼろになっていることがわかり、1980年代に社会的な問題となった。そのため、筆記用紙および印刷用紙など長期保存を要する紙の製造にはほとんど中性サイズが行われるようになった(中性紙)。中性サイズ剤としては、アルキルケテンダイマーおよびアルケニル無水コハク酸などが多く使われている。
 外面サイズは紙の表面にサイズ剤を塗布してにじみ止めを行うものであるが、その使用量は内添サイズの数分の1ですむほかに、表面の強度を増す効果や平滑性と印刷適性向上に効果がある。外面サイズ剤としてはデンプンやアクリルアミドの混合物などが多く使われる。[御田昭雄]
填料
紙の不透明性と表面平滑性とを向上させるため、多くの印刷紙には、屈折率が高く白色度の高い微粉を抄紙に先だって填料として添加するが、一般に填料の添加に伴って抄紙機のワイヤの摩耗が進み、また紙力とサイズの効果が低下する。
 LBKP(広葉樹の晒(さらし)クラフトパルプ)が紙の主力原料となってからは、紙の裏抜け(印刷文字が紙の裏に透けて見えること)が激しくなり、それを防ぐため填料の添加量を増やす必要に迫られたが、さらにはパルプより安い填料を大量に用いれば、製品の増量とコストの引下げもできるとして必要以上に使われるようになった。しかし、必要以上に加えた填料は図書を重くし、持ち運びを困難にしたり、古紙からパルプを再生する際に填料は再生できないので、大量のスラッジが発生し、またごみとなった古紙を焼却するときに大量の灰が発生するので嫌われることも多い。
 填料として使用可能なものは多く、白土(カオリン)、タルク、沈降性炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化チタン(チタンホワイト)、バライタ(硫酸バリウム)などがある。
 白土はチャイナクレイともよばれ、填料としてもっとも代表的なものである。本来陶磁器の原料として使われていたもので、白色度の高い良質のものは品不足で高価なため、ほかの填料がかなり使われるようになった。
 沈降性炭酸カルシウムは、筆記用紙や印刷用紙のサイズが中性サイズにかわったため、一般に使われるようになった。酸性サイズに用いれば、両者は反応して二酸化炭素の気泡を発生しながら硫酸カルシウムに変わるため使用できなかった。原料の石灰石は炭酸カルシウムを主成分とし、鉄、マンガン、マグネシウムおよび珪酸(けいさん)など多数の不純物を含む鉱物で、日本では資源的にはきわめて豊富に存在する。これを加工精製することによって純度の高い良質の沈降性炭酸カルシウムを安価にかつ容易に製造できる。
 チタンホワイトは高価であるが高い屈折率と白色度を有するので、地図用紙や航空郵便用の便箋(びんせん)のように薄くて白い紙の製造に利用される。またバライタは写真の印画紙の原紙(バライタ紙)の製造に用いられる。[御田昭雄]
色料
今日製造される紙の多くには、色料が加えられてなんらかの着色が施されている。色料のうち顔料は水に不溶性で、無機質のものと有機質のものとがある。顔料のうち群青(ぐんじょう)と紺青(こんじょう)は、かつてはパルプの黄色味を消し、白い紙を得るために用いられた。その後は高白色度のパルプが得られ、また蛍光染料があるので、有色のものは使わず、白い顔料がおもに塗工紙をつくるための塗布剤の主成分として用いられる。顔料の種類は填料とほぼ同様、白土、タルク、沈降性炭酸カルシウムおよびチタンホワイト等が使われるが、紙の表面をより白く、緻密に、平滑にするために、填料に使うものより白色度が高くて粒子が細かい高品質のものが用いられる。
 一方、染料は一般に水に可溶で以下のように分類され、種類が多い。(1)塩基性染料、(2)直接染料、(3)酸性染料、(4)建染(たてぞ)め染料、(5)蛍光染料、(6)その他の染料。第二次世界大戦後、分散染料のように水に溶けず界面活性剤とともに水に懸濁させて合成繊維を染色する特異な染料も現れた。しかし製紙工業で使われるものはいずれも繊維工業、とくに木綿の染色のためのものを使っており、おもに塩基性染料と直接染料で、蛍光染料も使うことがある。このうち塩基性染料は色は鮮やかで価格は安いが、着色した紙を水でぬらしただけで染料が溶け出しやすく、日光に対して堅牢(けんろう)ではない。直接染料は木綿の染料として多く用いられ、一般に塩基性染料に比べて色は地味であるが、着色した紙は水による溶出が少なく、パルプを容易に染色することができ、かつ日光にも堅牢である。蛍光染料は紫外線(波長300~400ナノメートル、1ナノメートルは10億分の1メートル)を吸収し可視の青紫光(波長430~450ナノメートル)を放射する染料で、白さの向上を感じさせるのに用いられるが、タングステンランプのように紫外線を出さない光の下では白く感じられない。[御田昭雄]
その他の助剤
多くの助剤が種々の目的で用いられる。そのうち一般的なものはスライムコントロール剤で、そのほか広く用いられているものには紙力増強剤などがあげられる。[御田昭雄]
スライムコントロール剤
製紙工場では抄紙の際に大量の水を使い、その大半は回収して循環利用するが、パルプがもち込む微量な可溶性の糖分などが蓄積し、とくに夏期はバクテリアやかびが繁殖して粘着性の泥状物(スライムslime)が発生する。スライムコントロール剤はこのスライムが製品を汚染し品質を損ねるのを防ぐために用いられる。かつては水銀、錫(すず)等を含む有機金属化合物も使われたが、その後毒性の弱い有機窒素硫黄(いおう)系、有機ブロム系化合物が多く使われる。また循環水をオゾン滅菌する試みなども行われている。[御田昭雄]
紙力増強剤
紙は本来、パルプをぬらして、たたいただけで強度のある紙が得られていた。しかしかつては考えられなかったほど原料パルプが低質化したため、紙力増強剤を加えなければならなくなった。資源問題、公害問題、さらには地球環境に対する社会の関心の高まりに応じて、古紙からパルプを再生して、社会の要求にあった性能の紙を製造する必要が生じたのである。2013年時点で、新聞用紙に対する古紙利用率は78%を超えている。板紙の製造では、板紙の古紙のほかに印刷紙や包装紙等の古紙など、ほかの紙の製造に適さない低質な再生パルプの混合率が93%を超えるに至った。このように粗末な原料からつくった板紙に、重量物を梱包(こんぽう)できる段ボール用の板紙の性能が求められる状況にあり、そのため紙力の増強を可能とする薬剤が必要となったのである。紙力増強剤には乾燥紙力増強剤と湿紙強度増強剤がある。
 乾燥紙力増強剤は紙の軽量化と高速印刷とに耐えうるように用いるもので、トウモロコシ、小麦、タピオカ等の生デンプンおよび変性デンプンを加工処理したもの、植物ガム、ポリアクリルアミド等が用いられる。これらは、パルプのセルロースやヘミセルロースのヒドロキシ基と増強剤の分子がもつアミノ基やヒドロキシ基との間で水素結合が生じ、繊維間に作用する結合数を増加させることによって強度が上昇するのだと考えられている。
 湿紙強度増強剤は湿潤時に極端に強度が落ちる紙本来の欠点を補強するもので、エポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンイミン等が使われる。これらの樹脂は完全紙料を調製する際にパルプのスラリー(懸濁液)に添加し、セルロース分子間で形成されている耐水性に乏しい水素結合領域を被覆保護したり、三次元化した網目構造をとることによって、繊維を固定して湿紙強度を出すとともに、乾燥強度も増加させるものである。[御田昭雄]
抄紙
今日でも高級和紙の一部の製造には手漉きが行われているが、洋紙、板紙のすべてと大部分の和紙(機械抄き和紙)は抄紙機で抄造される。手漉きでは、パルプの懸濁液を簾または金網(ワイヤ)で膜状に漉き上げて湿紙を得、得られた紙を絞り乾燥して製品とするが、機械抄きでは以上三つの工程を連続的かつ機械的に行う。抄紙機は、(1)目の細かい金網またはプラスチックの網(ワイヤとよぶ)を無端ベルト状または円筒状の籠(かご)の表に張り付けてエンドレスのワイヤにし、同一方向に高速かつ連続的に動かすことによって網の上で完全紙料であるパルプの懸濁液から水を漉(こ)し取り、湿紙を形成させる部分、(2)湿紙に含まれる余分の水分を、回転ロールの間に挟んで連続的に絞る部分、(3)水を絞られ送られてくる湿紙をさらに回転する加熱ドラムに巻き付けながら水分を蒸発させて乾燥した紙にする部分、とからなる装置で、各部分を(1)ワイヤパートまたはウェットパート、(2)プレスパート、および(3)ドライヤーパートとよぶ。
 抄紙機の機種は非常に多いが、構成する三つのパートのうち、とくにワイヤパートとドライヤーパートとの違いにその特徴がみられ、ワイヤパートの様式の代表的なものとして、長網抄紙機、円網(まるあみ)抄紙機、ツインワイヤ抄紙機があり、ドライヤーパートの代表的なものとして長網抄紙機や円網抄紙機などに用いられる多筒式、ヤンキーマシンに用いられる単筒式などがある。さらにパートの組合せを変えたり重ねたりしたコンビネーションマシンなどがある。なお、各抄紙機の詳細については別項「抄紙機」を参照。[御田昭雄]
紙の寸法規格と取引単位
紙の加工仕上げ寸法はJIS(ジス)(日本工業規格)により定められているが、これによるとA列とB列とがあり、A列0番は841ミリメートル×1189ミリメートル(面積は1平方メートル)、B列0番は1030ミリメートル×1456ミリメートル(面積は1.5平方メートル)である。いずれも縦横比が 1:であるので、長辺を二つに折れば番号は1番増えて(たとえばB列1番)面積が半分になるが、縦横比は変わらないようになっている。原紙は化粧裁ち(書物の製本に際して、小口と天地をきれいに断裁すること)の余裕をみるので、幾分大きめにできている。
 洋紙の取引単位は、大口では連(れん)(1連は1000枚)またはキログラム、小口取引では連または枚を用いる。板紙の取引単位は大口ではトン、小口では連(1連は100枚)を用いる。[御田昭雄]

紙の種類


筆記用紙および図画用紙
筆記用紙はサイズのよく効いた筆記性のよい紙の総称である。一般には長く記録を保存するため、上質印刷用紙の原料と同様、化学パルプ100%を用いて抄造する。しかしメモ用紙として、下級印刷紙の原料に相当する砕木パルプを主体として、化学パルプ20~40%をつなぎとして用い、更紙(ざらがみ)も抄造される。用途に応じ仕上げや色合いなどが異なる。用途は多く、ノート用、便箋用、帳簿用、小切手用その他がある。
 図画用紙(画用紙)はペン書きのほか鉛筆画、水彩画、クレヨン画などが可能なように、表面を粗面仕上げした厚手の紙で、原料としては上質紙に相当する化学パルプを用い機械抄きでつくる。とくに高級な紙はコットンパルプを配合し、手漉きによるものもある。[御田昭雄]
印刷用紙
印刷用に製造された紙。紙の発明の最大の目的が情報の保存および伝達であったが、印刷は今日でも情報の保存と伝達の有効な手段である。日本で製造される印刷・情報用紙は2014年時点で850万トンに達した。新聞用紙の313万トンを加えると1163万トンで、これは紙の生産量1512万トンの77%を占め、洋紙のほとんどは印刷のために製造されていることがわかる。板紙を含めたすべての紙の生産量の合計が2648万トンであるから、その44%にあたり、紙パルプ産業にあって大きな割合を占めている。
 印刷用紙の原料としては、従来は木材の晒パルプを主原料とするか、またはこれに砕木パルプを加えて主原料としていた。しかし、地球環境問題が厳しくなるにしたがって、その対策のための技術開発が進み、除塵(じょじん)、精選、脱墨、漂白等の技術が進歩したため、再生パルプの品質が向上し、印刷用紙原料として使われるようになった。かつては古紙の再生パルプは低品質で板紙にしか使えなかったが、2014年には年間消費される古紙1709万トンのうちの40.3%が印刷用紙などの紙の原料として利用され、とくに新聞用紙や下級印刷用紙などに大量に使われるようになった。詳細については別項目の「印刷用紙」を参照。[御田昭雄]
ラミネーションと真空蒸着
ラミネーションは、上質紙、クラフト紙、板紙などの基盤の上に、デンプン、膠(にかわ)、CMC(セルロース系の糊(のり))など水溶性の接着剤を用いて、上質紙、色紙、コート紙あるいはフィルムや金属箔(はく)を貼(は)り合わせて複合素材とすることで、防湿性、保香性など紙になかった新しい機能をもった加工紙を製造するための技術である。貼り合せに用いる素材のうち紙以外のおもなものは、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルムや共重合体フィルムなど非常に種類が多く、金属箔としてはおもにアルミ箔が用いられる。
 加工法としてはドライラミネーションと押し出しラミネーションがある。ドライラミネーションは通常フィルムまたは箔に溶剤型の接着剤を溶かして塗り、乾燥機内で溶剤を蒸発させた後、加熱ロールの間に紙とともに挟んで加熱して貼り合わせる方法である。欠点としては有機溶剤を使うため、防火と安全衛生の設備が必要なことがあげられる。押し出しラミネーションは溶融した樹脂を、冷えて固まらないうちに紙と連続的に貼り合わせる方法である。製品の加工紙は用途が広く、重く吸湿性のある食糧、飼料および肥料などの包装用に、また軽く吸湿性のある食品やにおいの強い物品の包装用などにも使われる。
 金属を紙に真空蒸着させた加工紙も広く利用されている。真空蒸着に用いられる金属はおもにアルミニウムであるが、そのほかに金、銀、ニッケル、カドミウムなどがあり、通常40~60ナノメートル程度のきわめて薄い膜に蒸着される。製品の加工紙は装飾用のほか電子工業用にも利用される。[御田昭雄]
板紙
厚い紙の総称でボール紙ともよばれる。板紙の種類は多く、段ボール原紙や紙箱の原紙に多く使われる。日本では第二次世界大戦後、あらゆる資源が不足したが、針葉樹材はとくに不足し、木箱ができず梱包と輸送に苦労した。しかし板紙を貼り合わせた段ボール箱が普及し始めて、包装と輸送が容易になった。空き箱は折り畳んで回収し、また箱として再利用できる。使えなくなった空き箱は古紙として回収し、再生パルプにして板紙を再生できるので、爆発的に生産と需要が増えた。2014年には板紙の生産量は年間1136万トンに達し、すべての紙(洋紙・板紙の合計)の生産量2648万トンの約43%に達する。詳細については別項目「板紙」を参照。[御田昭雄]
土木建築材用紙
紙は土木建築の分野でも材料としてさまざまな用途で使われているが、特別に抄造され名前のついているものとして、ルーフィングペーパー、コンクリート養生紙、石膏(せっこう)ボード原紙などがある。
 ルーフィングペーパーは屋根葺(ふ)き材の下地に用いられる。コンクリート養生紙はコンクリートを打ったのち固まるまでの間、乾燥を防ぐためにコンクリートの上に張っておく加工紙である。クラフト紙のほかアスファルト加工紙、ポリエチレン加工紙などが使われる。
 ルーフィングペーパー、コンクリート養生紙などのうちアスファルトやタールを含浸させて使われる板紙は、とくに防水原紙とよばれる。
 石膏ボードは、おがくずその他軽量混和物と石膏とを練りあわせたものを2枚の石膏ボード原紙の間に挟んで成形したもので、家屋の内壁、天井などに仕上げ材の下地として使うが、同原紙は古紙の再生パルプを用いて坪量(つぼりょう)1平方メートル当り300グラム程度の厚い板紙として抄紙される(坪量は紙の単位当りの重量を表す。代表的なものとしてメートル坪量g/m2がある)。[御田昭雄]
機械抄き和紙
明治政府は欧米の文化と技術の導入に努めたが、ミツマタなどの靭皮(じんぴ)(木の皮)の長繊維パルプを原料とした和紙を、紙幣用紙として抄紙機を用いて製造することに成功した。この技術はそれ以来民間にも広がり、アサなどの長繊維パルプを原料とし、短網ヤンキーマシンなどを用いて和紙が抄紙されるようになった。その後抄紙技術が進み、木材パルプのうちでも比較的繊維長の長い、針葉樹の晒パルプを混ぜて機械抄き和紙が抄造された。現在、製造コストを下げるために、機械抄き和紙の抄紙機と抄造技術を使って、木材パルプのみを原料とした安価な和紙風の書道半紙、便箋用紙等の製造が多く行われている。なお長繊維パルプを原料として用い、ごく薄くて抄きむらのない紙を機械で抄造する和紙の技術は、優れた絶縁紙、コンデンサーペーパーなどの製造に生かされ、製品はハイテクの分野に優れた素材として提供され世界的な評価を受けている。[御田昭雄]
非木材紙
1995年時点の世界の非木材パルプ生産量は2530万トンであり、このうち中国は2221万トンで、当時の世界の非木材パルプ生産量の実に87.8%の実績を誇っていた。しかし、20世紀の末期には非木材パルプの生産に伴う深刻な公害問題を放置できなくなり、中国政府はついに規制を強化し、多数の非木材パルプ工場が閉鎖せざるを得なくなった。日本においても、1971年の田子ノ浦事件の前までは、板紙工場が日本各地にあった稲藁を原料として自家用に藁パルプを生産したり、零細な非木材パルプ工場が特殊紙用のアバカ(マニラアサ)パルプなどを生産していた。しかし公害問題が厳しくなると、適切な公害処理技術がなかったために、いくつかの藁パルプ工場は木材パルプ工場に変換し、アバカパルプは公害規制のゆるい海外の工場に生産をまかせ、残りの工場は閉鎖を余儀なくされたのであった。その後、公害処理技術を開発せずに非木材パルプの世界一を誇る生産をしてきた中国も、かつての日本と同じように工場閉鎖の止むなきに至ったことに世界の注目が集まった。
 非木材パルプの大半は、森林資源に乏しく、木材パルプがつくれない開発途上国によって、公害処理設備も十分でない零細工場で、竹、藁、バガス(サトウキビの絞りかす)などから粗悪な短繊維パルプが生産されてきた。それに比べ、ほとんどの先進国の非木材パルプ工場では、アバカなどのアサ類やコウゾ、ミツマタおよびガンピなどを用い、紙幣その他特殊高級紙の原料となる高価な長繊維パルプが製造されている。日本においても、国産の非木材パルプはコウゾやアサなど高価な原料を用い、割高な加工賃をかけ、製品の非木材パルプの価格も木材パルプの5~50倍ときわめて高く、和紙をはじめ紙幣用紙など特殊高級紙の原料として使われてきた。輸入される非木材パルプにはケナフやバガスなどが用いられているが、これらの原料は原産地では安いが、輸入に伴う諸経費をかけると木材パルプよりかなり高くつくため、木材パルプに10%前後混合して非木材紙とするしか方法がない状況にある。[御田昭雄]

紙パルプの未来予測


ペーパーレスの時代はくるか
かつてはパソコンやソフトウェアの新型が発表されるたびに、ペーパーレス時代到来という予測がなされ、紙パルプメーカーが増設・増産を控えた時期があった。しかし、実際にはこれらの製品には紙に印刷された膨大な量の取扱説明書がついてくるなど、予期せぬ紙の消費が紙パルプの在庫を一掃させ、市場価格をつり上げ、紙パルプメーカーの増設・増産の動機づけになった。このような紙パルプの減産・増産の繰り返しは環境対策に大きな進歩を促し、国家・社会も紙およびその原料となる木材資源の節約とごみの削減を支援するようになった。いまや新型のパソコンやソフトウェアには取扱説明書がついておらず、消費者はパソコン画面からマニュアルを探し出して学ぶようになるなど、紙の消費と紙くずの発生は徐々に減少していった。
 紙の最大の役割であった情報の伝達や保存も、パソコンの急速な発達と普及により、その多くはとってかわられるようになった。新聞や雑誌の発行部数は減り続け廃刊するものもあり、さらにパソコンのなかに大きな百科事典や学協会の出す便覧等の膨大な情報が収録保存され、そのなかから必要なときに必要な情報が検索できる体制も進みつつある。
 このような状況のなか、近い将来、紙に対する常識が大きく変動し、紙のない社会がくるのではないかと感じる人々も増えている。確かに情報の伝達と保存については、急速な勢いでパソコンと新しい記録媒体に移っているのは事実である。しかし記録には、永久に保存したい、たいせつなものも少なくない。日本では1000年以上も前に和紙に墨書した多数の資料が、高温多湿の環境にも耐え、古文書としてきわめて良好な状態で保存されている。これは、紙と墨が情報保存の媒体としてきわめて優れていることの証明になろう。
 また今日でも、紙に印刷した本を好み、それを書店の書棚のなかから選んで買うことを楽しみにしている人や、筆記用紙にメモをとりながら覚え、その記憶を整理しなければ勉強や仕事が進められないという人はいるだろう。そのような人々の求めに支えられて、印刷用紙も筆記用紙も減ることはあってもなくなることはないと思われる。[御田昭雄]
日本の公害処理の進化
パルプ廃液には大量の有機物や硫黄化合物が含まれているが、かつては莫大(ばくだい)な量の水で希釈し、軽度の公害処理をすれば川に放流することができた。しかしパルプ工場が巨大化するに伴って、希釈に用いる水は川の水では足りなくなった。希釈の足りない高濃度のパルプ廃液は夏季にはメタン発酵をおこし、メタンガスとともに猛毒性の硫化水素が発生したため死亡事故までおき、1970年代には紙パルプ産業の存亡にかかわる大きな公害問題にさらされた。しかし当時、これらの問題を抜本的に解決できる技術は欧米の先進諸国にもなかった。そのため日本は思いきった発想の転換を求められ、産官学の協力により研究開発を進めて、日本独自の公害の測定技術、処理技術ならびに法規制の三位(さんみ)一体の体制を確立するに至った。パルプ廃液は薄めず、捨てずに集めて濃縮・燃焼することにより水の使用量の節約を可能とするとともに、蒸解薬品と蒸気・電力のエネルギーを同時に回収できるようになり、コストダウンにも成功した。
 さらに日本では都市ごみのなかに20~30%もの紙類が存在することを突き止め、本や紙くず等の紙類を分別して製紙工場に送り再生パルプを得、この再生パルプを使って板紙を製造する技術を開発することで都市の一般ごみの発生量を激減させるとともに、木材資源の節約にも成功した。板紙は商品の梱包、貯蔵、在庫管理ならびに輸送に世界規模で広く使われ、今後ともその需要と供給はさらに拡大し続けるものと期待されている。また製紙工場では再生パルプをさらに精選除塵、脱墨および漂白などを行うことで良質で高白色度の再生パルプを得、これを主原料として中・下級の印刷用紙まで製造し、排煙、悪臭、廃液、排水およびスラッジなどのいっさいを処理処分できる技術をあわせて完成した。これにより日本は世界に先駆けて、紙パルプ産業を極低公害型の持続可能な基幹産業として再構築することに成功した。また周辺諸国への技術の指導普及にもつとめ、今後ともその進化が期待されている。[御田昭雄]
『紙パルプ技術協会編『紙パルプ事典』(1990・金原出版) ▽紙パルプ技術協会編・刊『紙パルプ技術便覧』(1992) ▽小沢普照著『ザ・森林塾』(1996・森林塾) ▽紙パルプ技術協会編・刊『紙パルプ製造技術シリーズ6 紙の抄造』(1998) ▽森本正和著『環境の21世紀に生きる非木材資源』(1999・ユニ出版) ▽日本製紙連合会編・刊『ケナフが森を救うというのは本当ですか?』『森林はパートナー』『紙パルプ産業の現状』(いずれも2000) ▽古紙再生促進センター編・刊『古紙ハンドブック 2000』(2001) ▽日本製紙連合会編・刊『紙・パルプ産業の現状』(月刊『紙・パルプ』2001年特集号・2001) ▽ピエール・マルク・ドゥ・ビアシ著、丸尾敏雄監修、山田美明訳『紙の歴史――文明の礎の二千年』(2006・創元社) ▽山内龍男著『紙とパルプの科学』(2006・京都大学学術出版会) ▽紙業タイムス社編『紙パルプ 日本とアジア』各年版(テックタイムス)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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図書館情報学用語辞典の解説

主に植物繊維を材料とし,樹脂などを加えた溶液中に分散させて密に絡ませ,漉いてシート状にし乾燥させたもの.したがって厳密にいえばパピルスや羊皮紙は紙ではない.さまざまな用途に用いられるが,最良の書写材料としての地位は現在でも揺るがし難い.中国,後漢の蔡倫の改良を契機として徐々に世界へ広まった.日本では和紙と洋紙に大別される.和紙は楮,三椏,雁皮などの靭皮を原料とし,手漉きで造られていたが,現在は機械漉きのものもある.近代以降の洋紙は木材パルプを原料とし,サイズ剤,填剤,色素などを加え機械漉きされる.現在は合成繊維を原料とするものもある.

出典|図書館情報学用語辞典 第4版
©All Rights Reserved, Copyright Nihon Toshokan Joho Gakkai, 2013 編者:日本図書館情報学会用語辞典編集委員会 編
それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

世界大百科事典内のの言及

【紙・パルプ工業】より

…新聞用紙や印刷用紙,ティッシュペーパーといった生活関連需要を満たす洋紙と,段ボール箱などの産業用包装資材の原紙となる板紙,および両者の原料であるパルプを供給する工業をいう。パルプを原料として各種紙類を生産する産業を製紙業ないし製紙工業という。…

【長安】より

…苑内には鉄農具の窖蔵(こうぞう)もあった。長安県洪慶村出土の鉄歯車,西安東郊灞橋前漢墓発見の世界最古の紙などは前漢代科学技術の様子を示している。南北朝時代,長安はたびたび北朝の都となったが,その間の資料はわずかに夏の真興6年(424)銘の石馬と石仏像のみである。…

【版画】より

…print(英語),estampe(フランス語),Druck(ドイツ語)がほぼこれに当たる。ふつうはインキ(墨,顔料など)をつけた木版,銅版,石版などによって紙などに印刷されたものをいう。したがって,まったく同一のものが複数あるということは版画の第1の特徴である。…

【本】より

…本は書物,図書とも呼ばれ,最も歴史が長い情報伝達の媒体である。形態的には,自然のままの(たとえば木の葉や竹),または加工した物質的材料(たとえば羊の皮,紙)を選び,その上へ文字や図を筆写または印刷したものを有機的に配列し,保存・運搬に適するよう,その材料の性質が要求する方法でひとまとめにしたものをいう。内容的には,思想または感情の伝達を目的とするもののすべてが含まれる。…

※「紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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大寒

二十四節気の一つ。元来,太陰太陽暦の 12月中 (12月後半) のことで,太陽の黄経が 300°に達した日 (太陽暦の1月 20日か 21日) から立春 (2月4日か5日) の前日までの約 15日間で...

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