東山三十六峰
ひがしやまさんじゆうろつぽう
古代・中世・近世と時代を経るに従って東山と称される峰々がしだいに拡大し、江戸後期に至って現在よばれるような三十六峰にまで広がったものと思われる。頼山陽は「東山」と題する漢詩を詠み、「三十六峰外史」と号している。
三十六峰は諸説あって確定しがたいが、広義にみると北から、比叡山(主峰大比叡ヶ岳は標高八四八・三メートル)・御生山(御蔭山・御形山・二葉山・高野山とも。標高約二〇〇メートル。御蔭神社が鎮座)・赤山(赤山禅院が鎮座)・修学院山(離宮の山とも。修学院離宮が所在。近くに林丘寺・曼殊院がある)・葉山・一乗寺山(北山別院・金福寺・詩仙堂・狸谷不動などが所在)・茶山(近くに北白川廃寺跡が所在。また三代茶屋四郎次郎が営んだ山荘跡地と伝える)・瓜生山(標高約二九四メートル。瓜生山城跡がある)・北白川山(丸山・勝軍山とも。勝軍地蔵が所在)・月待山(近くに慈照寺が所在)・如意ヶ嶽(一支峰に大文字山があり、八月一六日の送り火で著名。足利義輝の築いた城跡がある。標高約四六六メートル)・吉田山(吉田神社・宗忠神社が所在)・紫雲山(黒谷とも。金戒光明寺・真如堂が所在)・善気山(麓に法然院・霊鑑寺が所在)・椿ヶ峰(標高約三五〇メートル。麓に大豊神社が鎮座)・若王子山(若王子神社が鎮座。麓に禅林寺が所在)・南禅寺山(麓に南禅寺が所在)・大日山(観勝寺跡がある)・神明山(日向大神宮が鎮座)・粟田山(麓に粟田神社が鎮座)・華頂山(知恩院が所在)・円山(八坂神社・安養寺が所在)・長楽寺山(標高約二三〇メートルの独立峰。山上に将軍塚があり、山麓に長楽寺が所在)・双林寺山(山麓に双林寺が所在)・東大谷山(東大谷本廟が所在)・高台寺山(高台寺が所在)・霊山(霊山正法寺が所在)・鳥辺山(西大谷本廟が所在)・清水山(音羽山とも。清水寺・地主神社が所在)・清閑寺山(歌の中山とも。清閑寺・六条天皇陵・高倉天皇陵が所在)・阿弥陀ヶ峰(標高約一九三メートル。山上に豊国廟があり、麓に新日吉神宮・妙法院・智積院が所在)・今熊野山(麓に新熊野神社が鎮座)・泉山(泉涌寺・月輪陵・後月輪陵が所在)・恵日山(恵日山東福寺が所在)・光明峰(光明峯寺跡がある)・稲荷山(標高約二三二メートル。稲荷大社が鎮座)である。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の東山三十六峰の言及
【東山】より
…山地をさす場合,北は比叡山から南は稲荷山までとするのが一般的であり,京都市左京区,東山区,山科区,伏見区にまたがる。南北に連なる東山の峰々は〈東山三十六峰〉とも称されるが,諸説あってそのすべてを確定することはできない。山腹で送り火がたかれる[大文字山](466m)とその東の如意ヶ岳(474m)をほぼ中心に,北側は花コウ岩,南側は古生層からなり,概して南側の方はなだらかで,嵐雪の句〈ふとん着て寝たる姿や東山〉はよく知られる。…
※「東山三十六峰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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