京都市(読み)キョウトシ

デジタル大辞泉 「京都市」の意味・読み・例文・類語

きょうと‐し〔キヤウト‐〕【京都市】

京都

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「京都市」の解説

京都市

〔地名としての京都〕

京都は日本人にとっての永遠の首都、こころの故郷といわれている。しかしその京都という称呼は、元来この地だけのものではなく、一般の普通名詞として用いられていたのである。「京」という文字をとっても、「都」という文字をとっても、首府や帝都とほぼ同じ意味内容しかもっていない。強いていえば、京は「天子の居城のある土地」の意味で羅城・条坊をもつ儀礼的なものが考えられ、都は「天子の常居のある聚落」という意味で宗廟などを伴った日常的なものが連想されるくらいである。従って延暦一三年(七九四)平安京が定まる以前にも、難波・藤原・平城・恭仁くにの諸京は、京都という呼称の対象となったのである。特に平安京は長期の京都であったが、それでも京都が普通名詞であったことには変わりなかった。これが本格的な固有名詞となったのは、応徳三年(一〇八六)白河院が白川(現左京区)の地に院政を開き、当初「京・白川」が並称されるようになってから、両者の総称として京都の称呼がしだいに定着したもののようである。この事実は、平安京という人為的に作られた都城がくずれ、その跡に自然的な町並が発展し始めたところで、京都という固有名詞が生れたことになるであろう。しかしその後も、正称としての京都よりも、略称としての京が一般に用いられていたことは、それが一種の愛称化していたのかもしれない。

それでは平安京以前の呼称は、何かといえば、山背やましろ国の郡名が各部分名称として用いられたとみられる。郡の範域はだいたい三世紀の小国家に相当するからである。その呼称は地勢と深いかかわりがある。京都盆地内の諸川の氾濫原には水流がたぎち流れるところからオタギ(愛宕)の国ができ、これを川上の兄国として、川下に弟国(オトクニ、乙訓)が生れ、これに樹木の多いキイ(紀伊)の国や葛野原という景観をもつカドノ(葛野)の国が成立した。こうした小国家の名が郡名に変わり、やがて平安京に組込まれ、また京都のなかの地域として伝わった。ちなみにこの京都が府になり、更に市となるのは、もとより明治以後のことである。

〔規模と境域〕

京都市は、人口一四六万一千(昭和五〇年国勢調査)をかぞえ、全国第五位の大都市である。大阪・神戸とともに、近畿地方はもとより、西日本全域の中核をなす京阪神大都市圏を形成している。千年の古都の遺産に、近代都市の様相が付加されるにつれて市域も拡張され、面積六一〇・六一平方キロ(昭和三四年以降)に達している。


京都市
きようとし

2005年4月1日:京都市が北桑田郡京北町を編入
【北桑田郡】京都府:北桑田郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「京都市」の意味・わかりやすい解説

京都〔市〕
きょうと

京都府南東部の市。府庁所在地。1889年市制。同時に区制施行。当初は上京区下京区の 2区だったが,その後周辺市町村との合体・編入と行政区再編を重ね,1976年に北区,上京区,左京区中京区東山区,下京区,南区右京区伏見区山科区西京区の 11区となった。1956年政令指定都市となる。市域は京都盆地の北部と丹波山地の東部にまたがり,市街地を鴨川,西部を桂川,南部を宇治川が流れる。延暦13(794)年桓武天皇平安京を建設,以後明治維新まで 1000余年の間,都が置かれていた。その後市街地は平安京が東方と北方へ延びたかたちとなっている。多くの史跡や古社寺,風光美で知られる国際文化観光都市で,1994年には「古都京都の文化財」として世界遺産の文化遺産に登録された。葵祭祇園祭時代祭などの行事も著名で,祇園祭の山鉾行事は国の重要無形民俗文化財に指定されており,また「山・鉾・屋台行事」の一つとして国際連合教育科学文化機関 UNESCO世界無形遺産に登録されている。祇園祭山鉾は国の重要有形民俗文化財に指定。商工業都市としても重要で,室町筋の絹織物関係の問屋街は,全国的にも大きな力をもつ。工業は電気機器,精密機器,化学などの近代工業のほか,伝統工芸に特色があり,西陣織友禅染,清水焼,京仏具,京扇子,伏見の酒などは特に有名。近年は洛南を中心に電子工業などの先端技術産業の工場が立地している。中心市街は碁盤目状に区画され,四条通烏丸通の交差点を中心とする地区には金融機関や企業のオフィスが集中し,河原町通の三条と四条の間は,繁華なショッピングセンター街をなす。市街地北東部には京都大学をはじめ多くの大学や美術館,資料館などがある。東海道新幹線をはじめ JR東海道本線,山陰本線,奈良線,近畿日本鉄道,京阪電気鉄道と地下鉄,名神高速道路,国道1号線などの主要幹線が集中する。面積 827.83km2。人口 146万3723(2020)。

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