東流斎馬琴(読み)とうりゅうさい・ばきん

朝日日本歴史人物事典 「東流斎馬琴」の解説

東流斎馬琴(初代)

没年:安政4.8.19(1857.10.6)
生年享和1(1801)
江戸後期の講釈師。本名吉田常吉。2代目森川馬谷の弟子で,芸名は『八犬伝』の著者曲亭馬琴に因んだもの。博識で弁才に優れていた。それまでの棒読みを改め老若男女ごとに音調を変えて演じたり,身振りを加えたりする俗受けの手法で人気者となった。後年大坂に赴きここでも多くの弟子を育てた。同地で客死。2代目は高弟であった娘婿琴調(通称琴調馬琴)が継いだ。江戸での墓は2代目が建立,信入院(台東区鳥越)に現存する。馬琴の名跡は現代までに6代を数えるが,3代目までは東流斎,4代目から宝井を名乗っている。

(吉沢英明)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「東流斎馬琴」の解説

東流斎馬琴 とうりゅうさい-ばきん

宝井馬琴(たからい-ばきん)(初代)宝井馬琴(たからい-ばきん)(2代)宝井馬琴(たからい-ばきん)(3代)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「東流斎馬琴」の意味・わかりやすい解説

東流斎馬琴(1世)
とうりゅうさいばきん[いっせい]

講談師。本名吉田常吉。神田版木屋の子とも,備前浪人ともいわれる。棒読みを主としていた講談を,男は男の声で,女は女の声で,また身振りも加えて写実的なものとし,読本の類も取入れたりして大衆化成功滝沢馬琴を尊敬して馬琴を名のる。大坂で没。なお,東流斎馬琴の名跡は2世までで,3世以降は宝井姓を名のった。

東流斎馬琴(2世)
とうりゅうさいばきん[にせい]

講談師。1世東流斎馬琴門下。俗に琴調馬琴と称された。巧妙な芸であったが,大衆的な人気を得られず不遇に終った。大坂にも2世馬琴を名のる者がいた。なお東流斎馬琴の名跡は2世までで,3世以降は宝井姓を名のった。

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改訂新版 世界大百科事典 「東流斎馬琴」の意味・わかりやすい解説

東流斎馬琴 (とうりゅうさいばきん)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の東流斎馬琴の言及

【宝井馬琴】より

…講談師。江戸後期より現在まで4代を数えるが,2代までは東流斎馬琴といった。(1)初代 生没年不詳。…

※「東流斎馬琴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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