人気(読み)じんき

精選版 日本国語大辞典 「人気」の意味・読み・例文・類語

じん‐き【人気】

〘名〙
① 人の生気活気。また、人々の気配。人が群集してつくりだす気配。にんき。
※拾玉得花(1428)「見物衆も群集(くんじゅ)したる当座にて、人気(シンキ)・人音(ひとをと)なんどのみにて、しみかねたる当庭(たうば)にも」
② 人々の気うけ。世間のそれをよしとする感情。にんき。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)三「骨折甲斐のあれかしと、計るじせつの流行も、人気(ジンキ)に遇(あは)評判の猶彌増るすゑをまつ」 〔荘子人間世
③ 人の気持。その地方一帯の気風。にんき。
※滑稽本・浮世床(1813‐23)初「大坂の人気(ジンキ)が荒いといふてもそんなぢゃない」 〔荘子‐人間世〕

ひと‐け【人気】

〘名〙 (古くは「ひとげ」か)
① 人のけはい。人がいそうな様子。人の気(け)
※宇津保(970‐999頃)楼上下「廂にゐ給へる人々狭くて人げにあつかはしく覚え給へる」
※幸若・夜討曾我(室町末‐近世初)「人げもさらにせざりけり」
② 人間らしいこと。人並みであること。人らしさ。多く、「ひとげなし」の形で用いられる。
日葡辞書(1603‐04)「Fitoguemonai(ヒトゲモナイ)
雑俳・あふむ石(1839)「さすが繁花・費える事に立人気」

にん‐き【人気】

〘名〙
① 人間の生気、活気。また、人々が集まってつくり出す気配。じんき
浮世草子・風流曲三味線(1706)四「冬は寒さを女郎共取巻て、人気(ニンキ)を以(もっ)て風を防ぎ」
② 世間の、それを好ましいものとして迎える感情。人々の気受け。世間の評判。じんき。
※浮世草子・日本新永代蔵(1713)一「四十五十迄何にても勤めたる功は、天道人気(ニンキ)に空しからず」
③ その社会・地方の人々の気風。じんき。
※紅毛雑話(1787)二「切腹の事〈略〉日本の人気かくまで猛烈なり」

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デジタル大辞泉 「人気」の意味・読み・例文・類語

にん‐き【人気】

人々の気受け。世間一般の評判。「人気が上がる」「人気をさらう」
その土地の人々の気風。じんき。「人気の荒い土地柄」
株式市場で、投資家の間に広がる、ある銘柄の評判。「買い人気にあおられる」
人間の意気。じんき。
「天道―に空しからず」〈浮・新永代蔵〉
[類語]名声美名見栄みえ面皮世間体体裁肩身信用評判声価世評聞こえ呼び声しん信頼信任信望人望定評暖簾のれん覚え名望声望徳望魅力受け客受け名誉名聞めいぶん面目体面面子メンツ一分いちぶん沽券こけん

じん‐き【人気】

その地域の人々の気風。にんき。「人気が荒い」
人々の受け取りよう。気受け。評判。にんき。
「講釈風のレクチュアが妙に書生の―を集めた」〈魯庵社会百面相
群集した人々の熱気。また、人々の気配。
「―ハナハダ熱シ」〈日葡

ひと‐け【人気】

《「ひとげ」とも》
人のいるようす。人の気配。ひとっけ。「人気のない場所」
人間らしいこと。人並み。
「我をば―なしと思ひ、離れたるとな」〈・紅梅〉
[類語]人臭い

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「人気」の意味・わかりやすい解説

人気
にんき
popularity

ある人物ないし人間集団が,人々の好意や関心の的になり,このことを享受している状態。この好意や関心の内容,その伸展の状態は,人気が集る人々の特性にだけ依存しているのではない。だれに好意が集中するかは集団の性質によって,すなわち,集団内部の複雑な心理過程 (憧憬,同一視,コンプレックス,蔑視など) によって異なる。さらに人気は「人気者」になろうとする人間だけでなく,このような人間を求めていた人々をも満足させるが,こういった両者の満足によって利益を得るさまざまなメカニズムによって,人気はしばしば「つくられる」。なお人物に対してだけではなく,しばしば動物やシンボルその他の事象や事物につきまとい,人気投票的性格が大衆社会におけるさまざまな意思決定メカニズムや市場行動の原則となる。

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