松任城跡(読み)まつとうじようあと

日本歴史地名大系 「松任城跡」の解説

松任城跡
まつとうじようあと

[現在地名]松任市古城町

市街地の中心北寄りに所在する。築城時期や築城者は不明。「三州志」の所伝によると、「尊卑分脈」にみえる林氏庶流の松任十郎範光・範利・利家が代々当地に居住したというが、鎌倉期にこれを裏付ける史料はない。また「永享以来御番帳」や康正二年(一四五六)の「造内裏段銭并国役引付」などにも松任氏がみえるが当城との関連は不明である。戦国期には一向一揆の有力指導者であった鏑木氏が拠り、鏑木かぶらき城の別称もある。また雅名で城と称するのも同氏の名にちなむという。「徳了袖日記」には文明七年(一四七五)城主鏑木兵衛尉範常が蓮如に帰依し、徳善という法名を下付されたとある。「朝倉始末記」に蕪木入道常専がみえ、「三州志」は鏑木右衛門入道常専・右衛門尉頼信・勘解由が在城したという伝えを記す。なお常専については松任本誓ほんせい寺との関連を主張する同寺の所伝もある。

天正四年(一五七六)八月二一日付本願寺坊官下間頼廉宛の石川郡・河北郡旗本連署書状(北徴遺文)に「今度鏑木右衛門身上之義、逆意之子細候条、可被加御成敗候由之義、能美郡山内之人数被引出、既彼館へ被押寄、鏑木及難義候」とあり、両郡の旗本勢は鏑木頼信を討とうとする金沢御堂坊官七里三河頼周の動きを不当なものとして弾劾している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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