朝日日本歴史人物事典 「松本一指」の解説
松本一指
生年:天正14(1586)
江戸前期の槍術家。父は松本彦左衛門。越後国生まれ。諱は定好,通称覚左衛門,理左衛門,長門守。一指は法号。幼少から文武に励み,佐渡で日本覚天流の槙野久兵衛茂俊に槍術を学ぶ。のち出羽国上山(山形県)に住し,寛永6(1629)年上山に配流されてきた僧沢庵に会い,新流開創のための伝書作成を依頼,9巻の書を得て一指流を創始した。同流の槍は全長2間(約3.6m)の管槍であり,柄や管に様々の工夫がある。その操法の早さゆえに槍銃とも称され,広く流布した。沢庵が剣の柳生宗矩に与えた「不動智」は有名だが,槍術の伝書を書いたことはさらに興味深い。<参考文献>今村嘉雄他編『日本武道大系』7巻
(松井健二)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報