マンジ(読み)まんじ(その他表記)Manzi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マンジ」の意味・わかりやすい解説

マンジ
まんじ
Manzi

モンゴル支配時代に、南中国の人々・地域をさす語としてマルコ・ポーロマリニョリなどの西方人にも使われた。本来は漢民族が南方の周辺諸族を総称した「蛮」にちなんで南方人を蔑称(べっしょう)した俗語蛮子」の訛音(かおん)。モンゴル統治下の諸地域は征服以前の境域のままに把握されることが多く、旧金(きん)国の中国北半は漢地・漢児・漢人、旧南宋(なんそう)の中国南半は江南・蛮子・南人と別称され、政治社会上も区別された。モンゴル人は前者契丹(きったん)にちなんでヒタトとよんだ一方、後者を南方人の意でナンキャス(南家思)ともいい、その同義語としてペルシア語文献ではチーン(支那)、マーチーン(大支那)とも現れるが、マンジがもっとも一般的だったらしい。

杉山正明

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

関連語 項目

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android