板東郡(読み)ばんどうぐん

日本歴史地名大系 「板東郡」の解説

板東郡
ばんどうぐん

鎌倉時代前期以前に板野いたの郡が東西に分割されて成立したとみられる郡。坂東郡とも記される。吉野川以北、ほぼ現在の板野郡松茂まつしげ町・北島きたじま町・藍住あいずみ町と同郡上板かみいた町の東部、鳴門市、徳島市北東部にあたる。郡名は、仁治三年(一二四二)讃岐国へ流罪となった紀伊高野山の僧道範の記録「南海流浪記」の同四年二月一〇日条に「舟ヲヲリテ阿波国坂東郡大寺ニ宿ス」とある。「坂東郡大寺」は現板野大寺の金泉おおてらのこんせん寺をさす。西隣の板西ばんざい郡との境界は金泉寺所蔵の板東板西郡境界古図および宝永六年(一七〇九)の徳島藩裁断書によると、同寺の仁王門から南に下る道路である。現京都市上京かみぎよう大報恩だいほうおん寺所蔵の北野社一切経のうち、大般若経巻三六三の奥書には、応永一九年(一四一二)三月二六日に「阿州坂東郡撫養嶋余部郷西福寺」の住侶良禅により書写されたとあり、同時期巻三六七・巻三六九なども良禅によって書写されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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