朝日日本歴史人物事典 「柳水亭種清」の解説
柳水亭種清
生年:文政6.10.15(1823.11.17)
幕末明治期の草双紙合巻作者。通称は桜沢堂山。江戸生まれ。もと僧侶で,河竹黙阿弥の門に入って狂言作者となり,その後柳下亭種員に入門して戯作者となった。歌舞伎を合巻に引き写した所謂正本写しの作が多い。長編合巻の合作者として『白縫譚』(合巻中の最大長編全90編中の66~71,73~90編),『北雪美談時代加賀美』(45~49編)の作者として知られる。明治に入ってからの作品では,奉公人が主家の乱れを憤って刃傷沙汰におよぶ『五人殲苦魔物語』(1879),新吉原松葉屋の遊女と旧幕臣との維新後の悲恋をえがいた『艶娘毒蛇淵』などがある。典型的な合巻作者の生涯であった。晩年は僧職に復し,住職として没した。<参考文献>おおさわ・まこと「柳水亭種清の研究」(『江戸芸文叢』1,2号)
(本田康雄)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報