栗見庄(読み)くりみのしよう

日本歴史地名大系 「栗見庄」の解説

栗見庄
くりみのしよう

神崎郡の愛知川下流域から河口一帯にかけて所在したとみられる延暦寺領庄園。庄域を示す地名史料に登場しないが、近世本庄ほんじよう村は栗見本庄の遺称とみられ、栗見新田村(現神崎郡能登川町)の存在も推定の手掛りとなる。なお史料上、単に栗見庄とみえるのは延暦寺千僧供料所として伝領され、栗見本庄とあるのは妙法院門跡領と思われる。保元元年(一一五六)と推定される四月二八日の法橋某書状(陽明文庫所蔵兵範記裏文書)に栗見庄とみえ、立庄に関すると考えられる官符が関白藤原忠通のもとに持参されている。

〔千僧供料所〕

栗見庄は伊香いか富永とみなが(現伊香郡高月町)、高島郡木津こうつ(現新旭町)とともに山門「三箇庄」と称された。千僧供料所としては「源平盛衰記」巻三〇に「当山千僧供の料所、愛智郡胡桃くるみ庄」とみえるのが早く、寿永二年(一一八三)源義仲が上洛すると聞及んだ山門三塔第一の悪僧白井法橋幸明は、忍んでいた当庄から義仲の陣営に向かったという。嘉禎二年(一二三六)六月、訴訟のため鎌倉に赴く延暦寺所司らの旅糧として三箇庄の千僧供米三升などが充てられた(華頂要略)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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