化学辞典 第2版 「核四極共鳴」の解説
核四極共鳴
カクシキョクキョウメイ
nuclear quadrupole resonance
原子核の四極子モーメントは,それをとりまく電子からの電場ポテンシャルと相互作用をなし,その状態は,原子核のもつ核スピンに関して量子化される.そのエネルギー準位は,核スピンI,方向量子数 mI,核四極モーメントQ,z軸のまわりに軸対称な電場ポテンシャルφの電場勾配を
q = ∂ 2φ/∂ z 2
とすると,
(mI = I,I - 1,…,-I)
となる.この準位間では,電波の磁場と,核の磁気双極子モーメントの相互作用による磁気双極子遷移の選択律Δ mI = ±1に従って,
の周波数の電波を吸収する.この吸収は,数 MHz~数百 MHz のラジオ波の領域にあるが,その周波数の測定から核四極結合定数(eQq)が求まり,これより,化学結合のイオン性や,二重結合性について定量的知見を求めることができる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報