物理学では、力学系の物理量に対する古典的な取扱いを量子力学の取扱いに置き換えることをいう。情報論では、連続関数f(t)で与えられる情報、すなわち時間とともに連続的に変化する情報を実用上むだなく通報するときに用いる処方の一つをいう。この場合、まず時刻をとびとびの時点にとって、この時間の関数値の集まりで連続関数にかえる処方すなわち標本化を行い、次に関数値の範囲をいくつかの区間に分け、各区間に入る関数はこれをすべて区間の代表点で置き換える。この処方を量子化という。ここでは物理学の量子化について述べることにする。
量子力学では物理量が演算子として表されており、演算子形式の観測可能な物理量をオブザーバブルという。古典的な物理量を座標qと運動量pの関数A(q,p)とすれば、これに対応するオブザーバブルは、運動量pを微分演算子-iħ(∂/∂q)(ħはプランク定数hを2πで割ったもの)で置き換えたA(q,-iħ∂/∂q)で与えられる。
量子力学の物理量の値は、オブザーバブルの固有値(A=aを満たす値a)で与えられ、連続的な値をとるとは限らない。古典論における物理量の値をオブザーバブルの固有値で置き換えることも量子化である。たとえば角運動量の量子化とは、角運動量の大きさやその一成分の大きさを {l(l+1)}ħ,mħ で置き換えることをいう。ここでlは方位量子数であって整数、または半整数(整数に1/2を加えた数)の値をとる。またmは磁気量子数であって-l,-l+1,……,l-1,lのうちの任意の数である。
[田中 一]
物理学は分子・原子の世界の現象に対しても,古典論で扱った通常の大きさの世界の現象に対しても,共通の物理量を考え,プランク定数hがその考察に含まれているか否かがそれぞれの世界における問題の区別をつけている.古典論的に考えていた問題に,hを導入して原子世界の問題とすることを量子化という.A.J.W. Sommerfeldの量子条件の設定,またはシュレーディンガーの波動方程式の導入などはいずれも量子化の手順といえる.後者の導入は,位置座標qと運動量pを演算子と考えて,それらの間にhを含む交換関係を設けることと同等である.このように,量子化された分子,原子,原子核などの世界のもう一つの特徴は,光電効果における光量子の消滅,励起された原子状態からの光の放出などの例が示すように,すでに量子化されて波動関数で記述されている,たとえば,光量子の数が1→0,0→1のように変化する現象が起こることである.このような現象を記述することは,いまの例では,一度量子化された光量子の場の量を表す波動関数をあらためて変数のように扱い,これに第二の交換関係をもうけることにより可能となる.そこで,前記の量子化を第一量子化,後に述べたほうを第二量子化という.[別用語参照]光子
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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… 周波数領域など他の座標軸にデータを変換してから圧縮を行う方法は変換符号化と呼ばれている。高周波の情報は視覚,聴覚特性などから精度良く保存する必要がない場合が多く,こうした情報を削除したり,粗い近似(量子化)をすることで圧縮が可能となる。変換にDCT(離散コサイン変換)を用いる変換符号化は現在の画像圧縮の主流で,JPEGの歪みありの圧縮やMPEGでも使用されている。…
…パルス符号変調ではパルスの有無を受信側で正しく再現できればよく,波形ひずみや妨害雑音に強い高品質で高安定な通信システムが実現できる。 パルス符号変調の原理は〈標本化〉〈量子化〉および〈符号化〉の三つの基本機能により理解される。標本化とは時間的に連続なアナログ信号をとびとびの時間点のみで表現することである。…
※「量子化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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