根岸 英一(読み)ネギシ エイイチ

化学辞典 第2版 「根岸 英一」の解説

根岸 英一
ネギシ エイイチ
Negishi, Eiichi

日本の有機化学者.中国の満州国新京(現中華人民共和国吉林省長春)の生まれ.1958年に東京大学工学部応用化学科を卒業し,帝人株式会社に入社.1960年に同社を休職してフルブライト奨学生としてアメリカペンシルベニア大学に留学し,1963年にPh.D.を取得.帰国して帝人株式会社に復職したが,1966年に退職して,アメリカのパデュー大学に留学してBrown, Herbert Charles(ブラウン)に師事.そのままアメリカに残り,1968年パデュー大学助手,1972年シラキュース大学助教授,1976年同大学准教授,1979年パデュー大学教授,1999年同大学特待教授となる.Brownのもとで有機ホウ素化合物の化学研究を始め,シラキュース大学でクロスカップリング反応(遷移金属触媒を用い,有機金属化合物と有機ハロゲン化物から新たなC-C結合を形成する反応)の研究に着手系統だった研究から,1976~1978年に有機金属化合物として亜鉛,アルミニウム,ジルコニウムの化合物が有効であることを示して,クロスカップリング反応の適用範囲を大幅に広げた.このことが評価されて,2010年にノーベル化学賞受賞した.同年文化勲章も受賞.アメリカに永住しているが国籍は日本.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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