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有機金属化合物 ゆうききんぞくかごうぶつorganometallic compound

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

有機金属化合物
ゆうききんぞくかごうぶつ
organometallic compound

炭素原子と金属原子間の共有結合をもつ有機化合物の総称。ヒ素,亜鉛,水銀,マグネシウムを含む有機金属化合物は前からよく知られていたが,近年リチウムアルミニウムを含む有機金属化合物が合成化学上重要な役割を果すことや,ケイ素を含む化合物がきわめて独特で有用な性質を示すことなどが知られるに及んで,有機金属化合物の研究が非常に盛んになった。

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デジタル大辞泉の解説

ゆうききんぞく‐かごうぶつ〔イウキキンゾククワガフブツ〕【有機金属化合物】

金属を含む有機化合物のうち、炭素との金属結合をもつもの。無機と有機との境界領域化合物有機水銀化合物グリニャール試薬など。

出典|小学館
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百科事典マイペディアの解説

有機金属化合物【ゆうききんぞくかごうぶつ】

金属原子を成分として含む有機化合物。通常金属と炭素との間に共有結合をもつものをいう。ジメチル水銀(CH32Hg,グリニャール試薬チーグラー触媒など合成反応や高分子重合の触媒などとして重要なものが多い。
→関連項目有機化合物

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世界大百科事典 第2版の解説

ゆうききんぞくかごうぶつ【有機金属化合物 organometallic compound】

古くは金属を含む有機化合物を一般にこのように呼んでいたが,最近では金属原子と炭素原子の結合を含む化合物をいうのが普通である。したがって金属原子と直接結合する相手原子が酸素である有機酸の金属塩や金属のアルコキシドなどは含めないのが正しいが,便宜上アルコキシドなどを含めて取り扱うこともある。また金属―炭素結合を含みはするがシアノ錯体は含めないのが普通である。さらに金属といってもどこまでの元素を金属元素とするかが問題であるが,かなり広い意味にとって,たとえば図1に示される枠内の元素,すなわち普通には非金属元素に分類されるケイ素Si,リンP,ヒ素As,セレンSe,テルルTeなどをも含めて考えることが多い。

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大辞林 第三版の解説

ゆうききんぞくかごうぶつ【有機金属化合物】

金属原子が直接、炭素原子と結合している有機化合物の総称。グリニャール試薬・テトラエチル鉛などはその例。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

有機金属化合物
ゆうききんぞくかごうぶつ
organometallic compound

有機化合物のなかで炭素‐金属原子の直接結合をもつものの総称。また、炭素‐金属結合をもたないが水素‐金属結合をもつ錯体(ヒドリド錯体という)を含めることもある。有機化合物中の酸素、窒素、リン原子が金属に結合している場合は含めない。これらはカルボン酸塩やアルコキシドであり、また、エチレンジアミンやトリフェニルホスフィンなどを配位子とする金属錯体も有機金属化合物には含めない。ここで金属原子とは周期表の太枠で囲まれた典型元素遷移金属元素をいう。また、一般には青色で示した金属性の少ない元素(半金属、セミメタル、あるいはメタロイドともよばれる)を含める。
 多くの場合、有機金属化合物は不安定であり、水や空気との接触で発火したり分解する。また、炭素‐金属結合は反応性に富んでおり、この結合の間に炭酸ガス、一酸化炭素、オレフィン、ジエン、アセチレン、酸素、水素などが挿入されるので、有機合成の中間体や触媒として工業的にも利用価値の高いものがある。たとえば、マグネシウム化合物の一種はグリニャール試薬として、また、アルミニウム化合物の一つであるトリエチルアルミニウムはツィーグラー触媒として重要な役割を果たしている。そのほか、金属を含む有機化合物が医薬や農薬として用いられている例も少なくないが、金属化合物が原因と思われる中毒問題が話題になったこともあり、取扱いは十分注意する必要がある。[西山幸三郎]

合成法

金属元素の数が多いことからもその合成法は非常に多岐にわたっており、とくに遷移金属化合物の合成法は多様である。次に合成法の代表例を示す。
(1)直接法 金属と有機ハロゲン化合物の反応。
  M+RX→RMX
   (M=金属、R=水素あるいはアルキル、アリール基など、X=ハロゲン)
代表例は有機マグネシウム化合物(グリニャール試薬)の合成である。また、有機亜鉛化合物も同様に合成され、β‐オキシ酸エステルを生成するレフォルマツスキー反応などの試薬として利用されている。有機ケイ素化合物の主要な合成法もこの反応である。
(2)間接法 別の合成しやすい方法で合成した有機金属化合物と、金属あるいは金属ハロゲン化物との反応。
  MR+M′→M′R+M
   (M′=金属あるいは金属ハロゲン化物)
たとえば、アルキルカドミウム化合物などの合成である。この合成法は有機遷移金属錯体の合成にもしばしば用いられる。
(3)金属‐水素あるいは金属‐炭素結合と不飽和結合の反応(付加反応)。

代表例はヒドロボレーション反応や、ツィーグラー‐ナッタ法の中間体生成反応、ブチルリチウムとエチレンの高圧反応でポリエチレンを生成する際の中間体などである。また、金属‐炭素結合のみならず、金属‐酸素、金属‐窒素、金属‐リン結合なども不飽和結合に付加して有機金属化合物を与える。
(4)活性水素をもつ有機化合物と、金属あるいは金属ハロゲン化物の反応(置換反応)。
  M+nRH→MRn
   (M=金属あるいは金属ハロゲン化物)
アルカリ金属の反応やフェロセンの合成などがこれに入る。[西山幸三郎]

構造と性質

有機金属化合物の構造と性質を知ることは、それを活用するためにも重要である。金属‐炭素結合の性質は配位子や金属の種類によって異なる。また、典型金属元素化合物と遷移金属元素化合物とでもその構造と性質は異なる。似下、各結合様式により分類した。[西山幸三郎]
典型金属元素化合物
これらの化合物は、共有結合とイオン結合を有するものに大別されるが、その大まかな目安としては、金属の電気陰性度が役だつが、有機基の性質によっても結合状態の変わることもある。ここでは共有結合を有する多中心型を区別して3種類に分類した。
(1)イオン結合 電気的に陽性なアルカリ金属とつくる結合はイオン的である。したがって、アルカリ金属の有機金属化合物は炭化水素溶媒には不溶で、酸素や水に対してきわめて反応性が高い。たとえば、シクロペンタジエンのナトリウム塩などがそうである。
(2)共有結合 周期表の右のほうにある元素は電気陰性度も比較的高く、有機化合物的な性質を示すようになる。たとえば、多くの有機溶媒に溶け、かなりの揮発性を示すようになる。13~16族の金属はこれに含まれる。たとえば有機ケイ素化合物などである。
(3)多中心結合 Li、Be、Mg、B、Alなどいくつかの金属の化合物は、単量体としての安定度が低いため、多くの場合会合体として存在する。この場合は、配位子のアルキル基や水素が、橋かけの役割を果たす。たとえば、ジボランなどがその例である。[西山幸三郎]
遷移金属元素化合物
これらの化合物の構造は、その金属の種類の多さや配位子によって多様である。しかし、大まかにはσ(シグマ)結合を形成しているものと、π(パイ)結合を形成しているものに分類される。
(1)σ結合 σ結合をもつ遷移金属化合物は不安定なものが多いが、一酸化炭素や三級ホスフィンなどの安定化配位子を用いると比較的安定になるものもある。たとえばTi(CH3)4はマイナス50℃で分解するが、ビピリジルを加えたTi(CH3)4(bipy)2は0℃まで分解しない。
(2)π結合 多くの遷移金属元素は比較的安定なπ錯体を形成する。この場合、配位子のπ電子の数や金属の種類によりいろいろなπ錯体をつくる。たとえば、オレフィンπ錯体、πアリル錯体、シクロペンタジエニル錯体、η(エータ)アレーン錯体などである。π錯体の表示法でηは結合に関与している炭素数を示す。[西山幸三郎]

用途

アルキルリチウムやグリニャール試薬、水素化スズ化合物による還元など、有機合成にとって重要な試剤が多い。また、遷移金属錯体の多くは穏和な条件下での選択的合成の触媒として広く用いられている。鉛化合物はガソリンのアンチノック剤として使用されていたが、現在は公害問題などのため、この用途では用いられない。ケイ素化合物はシリコーンとして用途は広い。それ以外でも多くの有機金属(ホウ素、スズ、フェロセンなどを含む)ポリマーが耐熱性ポリマーとして研究、使用されている。含塩素ポリマー(ポリ塩化ビニルなど)の安定剤として、スズ化合物が用いられている例もある。
 一方、殺菌剤、殺虫剤としていろいろな有機金属化合物が利用されており、水銀、ヒ素、スズ化合物などがそのおもなものであるが、人体への影響などから製造を禁止されているものもある。医療用として金属化合物が用いられている例も多い。たとえば、ホウ素が癌(がん)組織へ濃縮されやすいという性質を応用して、中性子照射によりホウ素10(天然のホウ素は約18%のホウ素10を含有)が崩壊しα(アルファ)粒子で癌組織を壊す治療法も行われている。[西山幸三郎]

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