デジタル大辞泉
「桂男」の意味・読み・例文・類語
かつら‐おとこ〔‐をとこ〕【×桂男】
1 月に住むという伝説上の男。また、月の異称。かつらお。
「―も、同じ心に、あはれとや見奉るらむ」〈狭衣・四〉
2 美男子。
「―のぬしさんにほれたが縁かェェ」〈人・梅児誉美・三〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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かつら‐おとこ‥をとこ【桂男】
- 〘 名詞 〙
- ① ( 「かつら(桂)②」から ) 月の世界に住んでいるという伝説上の男。かつらお。かつらおのこ。桂の人。《 季語・秋 》
- [初出の実例]「かつらおとこも、同じ心に『あはれ』とや見奉るらん」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)四)
- ② 容姿のりっぱな男。美男子。かつらお。かつらおのこ。
- [初出の実例]「手にはとられぬかつらおとこの、ああいぶりさは、いつあをのりもかだのりと、身のさがらめをなのりそや」(出典:浄瑠璃・出世景清(1685)道行)
桂男の補助注記
①は「酉陽雑俎‐天咫」に、古くからの言い伝えとして、月の中に高さ五〇〇丈の桂があり、その下で仙道を学んだ呉剛という男が、罪をおかした罰としていつも斧をふるってきりつけているが、きるそばからそのきり口がふさがる、とある伝説による。
かつら‐お‥を【桂男】
- 〘 名詞 〙
- ① =かつらおとこ(桂男)①
- [初出の実例]「かつらをの月の船漕ぐあまの海を秋は明石の浦といはなん〈聖信〉」(出典:夫木和歌抄(1310頃)一三)
- ② =かつらおとこ(桂男)②
- [初出の実例]「桂壮士(カツラヲ)の人にはさまるすずみかな〈さよ〉」(出典:俳諧・古今俳諧明題集(1763)夏)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内の桂男の言及
【月】より
…〈熟田津(にぎたづ)に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕(こ)ぎ出でな〉との額田王(ぬかたのおおきみ)の歌は,泊りには船を浅瀬に引きあげ,満潮を待って沖に漕ぎ出した古代の航法を示している。《万葉集》では月を〈月人壮子(つきひとおとこ)〉と呼んでいるが,これは唐の《酉陽雑俎(ゆうようざつそ)》に〈月中に桂(かつら)あり……高さ五百丈,下に一人ありて常にこれを斫(き)る〉とある伝説にちなむもので,月を〈桂男(かつらお)〉と呼ぶのも同様である。また中国では月中に月の都,月の宮殿があると信じられていた。…
※「桂男」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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